【P2 続き】 「さぁ、どうぞ」  案内されたのは、ジェットコースターの最前列。  安全バーが私の身体をロックして、あっという間に身動きが取れなくなった。  ちょっと月までという名前の通り、このジェットコースターは相当な高さまで上がる。  並ばずに乗れるのは嬉しいが、私にも心の準備というものがある。  しかし、この状況では全てが手遅れである。  スタッフの軽快な掛け声に見送られ、ジェットコースターはゆっくりと動き始めた。  否が応でも心臓の鼓動が早まる。  ジェットコースターはグングンとスピードを上げて、私の身体は僅かな安全バーの中で右往左往した。 そうして、視界が逆さまになった時。 「月・・

0/1000 文字