【P3】  あれから私はひたすらにバイトと勉強を頑張った。  不思議と集中するものができると、周囲の雑音は左程気にならなくなっていった。  奨学金で大学に進学し、同時に家も出た。  そして今、職場で知り合った優しい夫と穏やかな日々を過ごしている。  あの日見た、かすみ草が咲き誇る庭のある家で。  間もなく生まれる小さな命と共に。  もちろん、生まれてくるのは可愛いくせ毛の男の子だろう。  不思議なジェットコースター、ちょっと月まで。  回転の瞬間月の兎に呼びかけると、過去か未来へいけるらしい。  そんな噂がまことしやかに囁かれている事を知ったのは、私が乗ったずっと後のことだった。   おし

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