しかし、学校の校庭に他の同級生の女の子を始め、多くの子供が集まってそれぞれ遊び始めると、私はなんだか一人でいることが無性に恥ずかしくなってきた。  そして悩みに悩んだ末、勇気を振り絞って私は中出君達のところに向かい言った。 「一緒にいれーて」  この一言を口にするのにどれ程勇気が必要だっただろう。  断られたらと思うだけで怖くて、胸はずっとドキドキしていた。なんせ俺がそう言った相手は、別に仲が良い友達でもなければ、むしろ嫌われている相手である。  しかし予想外な事に、中出君は 「いいよ、一緒に遊ぼうぜ」 と言ってくれて、私の顔は多分パァっと明るくなっていただろう。だが、そうは問屋は卸さない。
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 その後、私はまるで中出君の子分のように懐いて彼と一緒にいた。クラスで一番力が強く乱暴者だった私は、まるで借りて来た猫のようにおとなしくなる。  すると周りも変わった。いや、私に対する周りの子の対応が変わったというのが正しい。  私もそれから人に対する思いやりというのを覚え、できる限り周りに優しく接するようになると、周りも私に優しくなったのだ。人に優しくすると自分も優しくしてもらえる。それを教えてくれた中出君には今でも感謝している。  そんな中出君は翌年、親の都合で転校してしまったが、今でもあの時の彼の言葉を忘れない。  それがあったから、今の自分がいるのだと思う。  そこで私はもう一度考え直

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