みみみ 様作 【コラボ作品】 ヴァンパイア凪咲

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みみみ 様作 【コラボ作品】 ヴァンパイア凪咲

コラボ作品【St.Evilnight Saga ~血華繚乱~より】 誕生日プレゼントにと、ヴァンパイア凪咲のイラストを、みみみ様が描いて下さいました!!93ceddbc-b22c-4601-9752-9c9e13040df5https://estar.jp/novels/25589547/viewer?page=15 みみみ様 https://estar.jp/users/151539811 【St.Evilnight Saga ~ 2人で張った(わな) ~】  ―― ついて来てるわね。  深夜。  街のバーに顔を出して気分転換した帰り道。私の後をつける不審な男に気が付いた。  ここ最近変な視線を感じるので、ポラード神父が私を見張っているんじゃないかと勘違いをし、出がけに酷くタコ殴りにして出てきたのだ。  バーでカクテルを飲みながら、ちょっとあれはやり過ぎちゃったわねと血をダラダラと流していた彼の姿を思い出す。  それにしても、犯人はストーカーだったなんて。  粉雪が降る寒々しい夜なのに、余計に背筋が寒くなるモノを見つけてしまった。  だって、就寝時だけでなく、食事中や入浴中までも視線を感じるものだから、気持ち悪いことこの上ない。  教団の追っ手じゃないことは確かみたいだけど……。  もし追っ手なら、こんな下手な尾行はしない。もっと上手く後をつけてくるはずだし、足跡が残ってしまうような雪の日にターゲットを追跡するなんて証拠が残る真似はしない。逆に辿られて追い込まれてしまう可能性が高いからだ。  ということは、今私を追ってきているのは、素人(しろうと)のストーカーということになる。  ―― ちょっと、下僕に悪いことしちゃったかしら。  心の片隅(かたすみ)(あり)歩幅(ほはば)ほどの反省をすると、教会へと急ぐ。  礼拝堂へと直接入れる表の扉は閉まっているから、裏の生活空間へと(つな)がっている戸を開けて帰宅した。  玄関でコートについた雪を軽く(はた)いてから歩き出す。  自分の部屋のハンガーにコートをかけて、ワンピース一枚の身軽な格好(かっこう)のまま部屋を出る。  そして手洗いを済ませると、キッチンに置いてある救急箱を手にポラード神父の姿を探す。  礼拝堂にもいないし、応接室やリビングにもいない。お風呂にもいなかったから、もう寝室へ引き上げたのだろうと、彼の部屋を訪ねる。  部屋の前に立つと、背後から視線を感じた。どうやら廊下の窓から私を(のぞ)き見ているようだ。  ―― 私、今からこの部屋に入るわよ。  背後には目を向けずに心の中でそう呟くと、コンコンコンとノックをした。 室内から、聞き慣れたポラード神父の声がする。  背後の視線は消えていた。  きっと、この部屋の窓へと移動したのだろう。  私は「どうぞ」という返事を聞くと、ドアノブに手をかけて中へと入る。 「高杜さん」  どこをほっつき歩いてきたのやらと言いたげな目を向けたポラード神父は、風呂上がりなのかナイトガウンを身に(まと)ってタオルで髪を()いていた。  ―― あら、丁度(ちょうど)良いシチュエーションね。  ストーカーに見られている前で、ポラード神父を下僕と呼んだことはない。  ならば。  私はそっとドアを閉めると、部屋をつかつかと縦断(じゅうだん)してベッド横にあるナイトテーブルに救急箱を置き、窓に引かれているカーテンを開け放した。 「外、月が出ているわ。雪が月の光を反射して、綺麗なのよ」  コソコソと、窓の外で身を(ひそ)める気配がした。  予想通り、こちらへ移動したわね。  私は気が付かないフリをして再びカーテンを閉め、窓から少し離れると、置いた救急箱を両手で持って少し視線を落とし、淑女(しゅくじょ)らしく(ちぢ)こまって見せる。 「その……さっきは申し訳なかったわ神父様。その……放置して逃げたりして」  反省しているかのようにしゅんとして見せると、ポラード神父は怪訝(けげん)そうな顔をした。 「今に始まった話じゃないでしょう」  私は彼が余計なことを言う前に、救急箱を持ってポラード神父の前に立つ。 「だから、(つぐな)わせて欲しいの」 「いいですよ、大したことありませんでしたし」 「それじゃ私の心が痛むわ。お願い、脱いでちょうだい神父様」  今度は何を(たくら)んでいるのかと顔に出ていたが、溜息一つついてベッドに座ると、ポラード神父がナイトガウンの前を(くつろ)げ、(そで)を抜いて上半身を(あらわ)にする。  その所々に、夕方タコ殴りにした内出血が広がっていた。そして左上腕にはうっかり爪で突き刺した切り傷が残って、血流が良くなったせいか多少血が(にじ)んでいる。 「こんなに……」 「このくらい、すぐに治るでしょう」  大したことないと傷口に目をやって軽く腕を上げるポラード神父はしかし、その痛みに小さく(うめ)いた。  私は脱脂綿(だっしめん)を取り出して消毒液に(ひた)すと、その傷口に押し付ける。 「痛……ちょっ高杜さん、わざとですか」 「(いた)気持ちいんじゃないの?」 「そんな嗜虐(しぎゃく)的な趣味、持ち合わせてませんよ」  ある程度消毒すると傷口に軟膏(なんこう)()り、ガーゼを当てて包帯を巻き始める。 「そうなの? 私のハートを打ちつけたくらいだから、そういうご趣味がおありかと」 「それは……」  ヴァンパイア退治の基本でしょうと口にされる前に、私は言葉を(かぶ)せる。 「ほら神父様、動かない。大人しくしてて。私慣れてないから加減が分からないわ」  あんまり(ゆる)いと(ほど)けてしまうわねと、ギュウギュウと包帯を引っ張る。 「そんなに締められたらきついんですが?」 「加減してるのに……このくらい?」  ちょっと力加減を(ゆる)めると、ポラード神父が(うなず)いた。 「えぇ、そのくらいが丁度いいです」  くるくると巻き終えると、(はし)を軽く縛って()めた。  そして、上半身に出来た内出血に目を向ける。 「こっちは……まぁどうしようもないわね。ちょっと冷やすくらいしか」 「見た目は赤くなっているので酷く見えますが、そのうち治ります。そんなに気にしなくていいですよ。高杜さんも、怖かったんでしょうし」  あら、一応視線に(おび)えて冷静な判断ができなかったんだろうと気にかけてくれるのね。  かけられた優しい言葉が嬉しくて、私はうっかり笑んでしまった。  なら、無理だろうけど譲歩(じょうほ)する姿勢は見せてみようかしら。 「えぇ、怖かったわ。でも流石(さすが)に酷かったと思うから……食べる?」  そう言ってワンピースの肩ひもを片方、肩から落とし、首筋を噛みやすいように(さら)す。  ―― まぁ、まだ人の血を飲むのは生理的に受け付けないみたいだけど。  絶対噛みつかれたりしないと分かっているから、安心してこんなもできる。 「いえ、遠慮します」  ほらやっぱり。いくら体がヴァンパイアになったって、心がまだその事実を受け入れられてないんだわ。  窓の外で、身じろぎした気配がした。  ―― もうちょっと、かしら。 「ちょっとくらい、味見してみたらどうかしら? ()く前に」  私はポラード神父の肩に両手をついてベッドに片膝(かたひざ)を乗せると、(かが)ませた身体のバランスを取って、彼が私の首筋を()みやすいように上半身を近づける。  それは外からカーテン越しに見たら、抱き合っているように見える形で。 「高杜さん」  耳元で(ささや)かれるようにポラード神父の声が聞こえて、私は思わずバランスを(くず)した。  それに驚いたポラード神父は、支えようと私を抱きしめるけれど、左腕に力が入らないのか支えきれずにそのままベッドに押し倒される。 「……何してるんですか、貴女は」  (あき)れたような声が、私の下から聞こえた。  人肌の温かな体温が。ドクンドクンと動く心臓の鼓動(こどう)が、私の頬に、耳に感触と音を伝えてくる。  はっとして腕に力を入れ、(ひじ)を支点に上半身を起こすと、思いの外間近にポラード神父の顔があった。 「……っ!!!!!」  思わず肩を握ったままの手に力が入る。 「痛っ……高杜さん、そこ、そんな強く……」 「あ……ごめんなさ……」  慌てて手を離すと、再びバランスを崩してそのたくましい腕の中に飛べない鳥のように落っこちる。  さすが戦闘部隊にいた神父だ。(きた)え上げられた無駄のない筋肉が、私を受け止めた。 「怪我人の上で暴れるの、やめて下さい」 「暴れてなんて……」 「ちょっと大人しくしてて下さい」  そう言って動く右腕で私の肩を抱くように支えると、(いきお)いもつけずに起き上がった。  顔がほてったように熱い。 「高杜さん……その、服の肩ひもが……」  言いにくそうに肩を、というよりも服を押さえるように腕を回したままのポラード神父は、目線をそっと窓の方へと向けて外した。  指摘されて目を向けると、自分でずらしたのとは反対側の肩ひもまで肩から落ち、オフショルダーの服がベアトップ状態になっている。ただし、ベアトップのように胸元で()まるよう作られていないので、このままだと落ちてしまうのだが。  慌てて胸元を押さえて肩ひもを肩にかけると、ポラード神父はそっと腕を離した。 「……見たの?」 「神に誓って、見てません」  信仰を捨てた神父が神に誓ったって、信じられるはずがない。 「今なら怒らないわよ」 「……そもそも、何だってそんな露出度の高い服ばかり着るんですか、貴女は」 「可愛いじゃない? 隣の国の最新のファッションよ」 「この国にはまだ浸透(しんとう)してないんですから、誘われてると思う男が出ても不思議じゃありませんよ」 「そんな男目線の考えなんて知らないわよ。勝手に勘違いしたのが悪いわ」 「だからストーカーに狙われたんでしょう。さっきまで外にいた気配、貴女をつけて来たのでは?」  ちらりと目を窓に向けたポラード神父の視線を追うように、私も窓へと目を向ける。 「気付いてたの?」 「何か気配がするな、とは。でも、魔物や教団の人間にしては少々どんくさい感じがしたので、素人(しろうと)かと思って放っておきました。まぁ、高杜さんを今後もずっとストーカーし続けて、ヴァンパイアだとバレても厄介(やっかい)ですし」  ―― 協力してくれてたの? ストーカーを追い払うために?  心の準備なく向けられた優しさに、思わずときめく。 「もう休みましょう。とりあえず今日は、覗かれることはないと思いますから」 「そうね。お風呂に入って来るわ」  その日以来、ストーカーに覗かれることはなくなった。  翌日、この件でひと悶着あるのだけれど、それはまた別のお話。  こうして平和な日常は戻ってきたのだった。 高杜観覧感想文:  凄い色気を放つヴァンパイア凪咲です。  そして着てる服もまた色っぽい♡  オフショルダーの服、大人感漂ってて可愛くて素敵!!  う~ん、凄いなヴァンパイア凪咲。私に出来ないことを着々とこなしてしまう。  この素敵なイラストを見て思うのです。  なになに? とうとう自分から誘惑する気になった?(笑)  続編執筆中に頂いたので、彼女にそう訊いた所、ギロリとした目を向けられました。  しかし、いつまでも負けるヒューマン凪咲じゃありません。  髪に少しかかる粉雪を見て、外出先から帰って来たところなのかな? と思い、今回のSSを作成。  ふっっ……ちょっとはその色気を駆使して、読者様にジリジリの刑というサービスをしろってんだっっ!!  みみみさん、色気たっぷりなヴァンパイア凪咲を、ありがとうございました!!  もう少し色気と官能の欲しい方向けに、ちょっと実験的な改稿版も作りましたので、宜しければ。↓ 妄想劇場 https://estar.jp/novels/25582888/viewer?page=24 ❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀ コラボ作品【St.Evilnight Saga ~血華繚乱~】 ※本編は、ポラードさんのところで公開しております。 作品リスト「コラボ作品関連紹介」https://estar.jp/collections/2248187からお飛びください。豪華スター特典もございます。 ❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀
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