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『青天、屋上にて』
『青天、屋上にて』
BLジャンル ちゃんと恋愛未満にしよう
爽やかな青 ⇔ 恋をする醜い心
高校の夏、屋上にて
「ぼく」「あいつ」・「こいつ」
高校から知り合ったぼくとあいつ。お互いあまり過去を知ることがなくて、高校から見え始めた顔しか知らない。そのことが逆に救いで(※1)、干渉してこないあいつの軽さを好きになり始めていた。
だというのに、ぼくはあいつに対して軽くない気持ちを抱えていて、それは醜い化け物のような顔をしている。
いつもなんともない顔をしててぼくの隣にいるようないないようなあいつのいろんな顔が見たい
楽しい話をして笑わせたいし、ひどいことをしてぐしゃぐしゃに泣かせもしたい
あいつがぼくにこれだけ軽さを与えてくれるのに、ぼくは彼に重さしか渡そうとはしていない
ぼくのこれは恋なんて甘くて可愛いものじゃない
情欲と独占欲と執着心を溶かして混ぜた酷い匂いのチョコレートだ
※1
ぼくの家庭事情が厳しい。母子家庭(父親の死別)
ぼくは母の文字通り血のにじむ努力で高校に通わせてもらっている
一度、ぼくはなんとなくそんなことをあいつに言った。
「それは、すごいな」と乏しすぎる語彙でなんともないように返す。
ぼくは笑ってしまったが、あいつは予想に反して真面目な顔でぼくをみた
「誰かのために何かをがんばろうと思うことって、できるかどうか以前に、たやすく思いつくことじゃないよ」
「それを思いついたお前と、お前のここまでの出来事と、そういうことを含めて、すごいって(言ったつもりだった)」
一幕
一場:状況説明
ぼく・あいつの関係
ぼくのあいつへの想い
二場:目的の設定
暴走しそうになるぼくの恋心を押さえたい。
二幕
三場:一番低い障害
放課後の窓辺で机に向かい合わせ、ぼくの再提出課題を待ちながらあいつは夕陽の校庭を眺めている。
少し眠たげ。
ぼくを見ない視線が気に食わない。
頬杖を突いている方とは逆の手、机の上に置かれた手をペン先で突いた。
「なに」
返ってくる怪訝でもなんでもない色の眼差し。
ふと、ぼくなんかには微塵も興味ありませんと思っているだろうかと思ったけど、彼がここでぼくを待っている。ぼくだけを待っている。
ぼくはふふと笑ってしまって、相手をきょとんとさせてしまう。
最初は、その目がぼくを映すことで満足だった。
四場:二番目に低い障害
ぼくのこれは果たして恋なのだろうか。
たとえばこいつが女の子だったら、きっとぼくはガラス細工を触るように触れて、優しく撫でて、壊れないように守ったはずだ。
こいつはぼくと同じ男で、ちょっとやそっとじゃ壊れないし、ぼくと同じ強度を持っている。
ぼくはそう思っているのだ。
ある日、あいつは指先に絆創膏を付けてきた。
「包丁で切った」「包丁?」「晩御飯を作ってる」
ぼくは一度も聞いたことがなかったが、どうやらこいつの家も片親なのだそうだ。
弟妹の面倒をこいつが見ているらしい。その晩御飯作りで、指を怪我したのだ。
ぼくはその絆創膏を凝視してしまった。
その下にある傷は、どんな傷だろう。刃物の傷は綺麗に深い。ぱっくりとした断面に時間差で滲むこいつの血液は、どれだけ……
ぼくはハッとして相手の顔を見上げた。まさか自分の妄想が漏れていたなどとは思わないが、こんなに近い距離でそんなことを考えていた自分が後ろめたい。
だが。
こいつはいつもどおり、なんてないことない顔をしてぼくを見つめ返すだけだった。
今までは、その顔に安堵さえ覚えていたのに。
ぼくは、ちくりと小さく胸が痛かったのだ。
五場:状況の再整備
いつもなんともない顔をしててぼくの隣にいるようないないようなあいつのいろんな顔が見たい
楽しい話をして笑わせたいし、ひどいことをしてぐしゃぐしゃに泣かせもしたい
あいつがぼくにこれだけ軽さを与えてくれるのに、ぼくは彼に重さしか渡そうとはしていない
ぼくのこれは恋なんて甘くて可愛いものじゃない
情欲と独占欲と執着心を溶かして混ぜた酷い匂いのチョコレートだ
×六場:一番高い障害
三幕
七場:真のクライマックス
夏が近づくたびにぼくの心もその温度に煮詰まってくるようだった。
ぐらぐらと沸騰しつつあって、余裕やほかのものへの興味が蒸発していってしまって、ただひたすら、こいつへの執着心だけが取り残されてしまった。
あいつの首筋を見るたびに噛みつきたくなる。
あいつの指先を見るたびに絡め捕りたくなる。
あいつの目がぼくを見るたびに、もう、ほかの何物も見えないように覆いたくなる。
これは恋心なんだろうか。
こんな凶暴で昏くて苦しいだけのものを、その名前で呼んでしまっていいのだろうか。
暑い、と言うあいつの方へ、どうしようもなく触れたくなって伸ばした指先
に、ふと顔を寄せて自分から唇を寄せる。
「なんだ… 暑いと言ったから、冷たいのかと思った」
少し不満げ。
そんな一瞬のなんともない顔で動いた所作一つで、どれだけぼくの心をかき乱して壊していったかなんて、
あなたは知らないだろう。
そっと指先に触れて伝わった感覚の中に、ぼくは、小さくも紛れもない甘やかさを見つけてしまった。
ぼくのこれは、恋心なのだ。
凄絶な絶望感とともに、ぼくは理解せざるをえなかった。
きっといつか、ぼくはこの心で、彼を傷つける。
八場:すべての結末
炎天、どうか、彼の心や体を傷つけてしまう前に
ぼくの醜い心と一緒に、この狂った恋心(化け物)を溶かし尽くしてくれ。
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最初に目標が掲げられてるパターンです笑
パッと浮かんだイメージを忘れる前にメモってます。すぐ忘れちゃうので…
一幕の内容があっさりしてるのはその前に書き出しちゃってるので省略してしまいました。
その当時はいいんですが、いま見返すと自分でもよく分からないです。
六場は潰しましたね。
本文はこちら↓↓
青天、屋上にて
https://estar.jp/novels/25600645
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