【短編】クヴァルダは何処だ

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 あの日俺が話したことで2人は喧嘩をしたらしい。そのことに何の後悔も無いけど(多分俺のせいじゃないし)、それからしばらくして2人がまた仲良しこよしに戻ったというのを知った時、俺は嬉しかった。  もともと、彼女が出来たこと自体は大歓迎だった。あんな美味しそうな子、不器用なジロにしちゃ上出来。  でもそれよりも、ジロのベースの音が前よりもさらに、エロくなったというのが高得点。  きっとそれは情操がなせる技であり、努力と技術が全面に出ていたジロのベースに色が足されたのは、多分あの子のお陰なのだ。そうなんだとしたらまぁ、あながち邪魔では無いのかも。 「ジロ、しりとり。」  いつもの防音室で、ジロと音楽をイジる。俺にとって何より大事で、何より好きな時間。 「あぁ?しねぇよそんなん。」  もう深夜。眠い目をこすりながらベースを抱える弟。俺は、大事にするよ、俺のやり方で。 「する。まだトラック書き出すの時間かかる。はい、『童貞』」 「ぇえ…?何でそれから初めんだようるせぇな……うーん、い、い、『イカ』」 「か、か、『数の子天井』!」 「………テトラ、お前、俺のこと馬鹿にしてんだろ。」 「してないしてない(笑)」 「何言いたいのか知らねぇけど、桃香(ももか)には二度と手出すなよ。」 「………。」 「おいっ!!!」  ご心配なく。もう、絶対にしない。  そして俺にも、クヴァルダが現れると、良いんだけどな。 〜fin.〜 本編↓↓ 『赤鬼くんはベースを聴きたい』 https://estar.jp/novels/25576624
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