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「さっきまでコイツは確かにヒトだった。だがな、私に始末書の文面を1から10まで考えさせたので、その見返りとして1時間猫になってもらった」
「えっ、明智さんて、魔法使いなんですか!?」
僕のすっとんきょうな声に、椎野さんが鋭い舌打ちを放った。怖い。
「にゃああ……うみゃああああああ。みゃあ。みゃあああ……」
…………はい?
「椎野は“テメエ、明智、その事はまだ伏せておく手筈だったろ。志馬もまだ来てねえってのに、なに勝手にバラしてやがんだ”と言っている」
ホントかよ。
その時、突如部屋の真ん中に、巨大な虹色の光がぽんっと弾けた。
僕は目を疑った──虹色の光の中から、先端が星の形をしているやたらとキラキラしたステッキを持った、コワモテの坊主頭の男が現れたのだ。
「魔法使いシマりん、ただいま参上!」
………………はい?
「遅かったな、シマりん」
「ああ、ちょっと呪文を噛んでしまってな」
「……うにゃあああ」
「椎野が“テメエはいつまでたっても半人前だな”と言っている」
「あ、あのっ!」
いてもたってもいられず、僕は大声を上げた。3人……いや、2人と1匹?の目が、一斉に僕に向けられる。
「あの……あなた方は、まっ、まっ、魔法使いなんですか?」
「そうだと言っただろう?」
「だったらあの、魔法を使って久我亮衛を探せばいいじゃないですか」
僕の言葉に3人は押し黙り、互いに視線を交わしている。え、なにそのリアクション。
暫しの沈黙ののち、明智さんがはあーっと息をついた。
・「それが出来ないから、君を呼んだのだ」
⇒https://estar.jp/novels/25650637/viewer?page=26
・「君はどうやら、とても純粋な魂の持ち主らしいね」
⇒https://estar.jp/novels/25650637/viewer?page=23
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