久我亮衛失踪事件

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「君はどうやら、とても純粋な魂の持ち主らしいね」  どういう事だろう。 「いいか、宮本悠真。魔法使いといったものは、ファンタジーの世界にのみ存在するのだ。現実では笛や太鼓で探したって見つかりゃしない。なぜなら、存在しないのだから」 「え、でもさっき、し、シマりんさんが何もないところから──」  慌ててシマりんさんを見ると、シマりんさんは、例の星がついたステッキを、ひゅん、と振った。 「イリュージョン」 「えっ、えーっ!」 「俺は最初からこの部屋に潜んでたよ」 「じゃ、じゃあ、椎野さんは……」 「テメエ、俺が本気で“にゃあ”と鳴いてると思ったのか」 「えーっ………」  なぜ、なぜこんな……敢えて言わせてもらう、なぜこんな茶番を? 「悪かったな、宮本悠真。君の心を試した」 「な……なぜ……」 「本当に純粋な魂の持ち主にしか、久我亮衛にかけられた呪いを解くことはできない」  ………は?  魔法の次は、呪い? 「……もう僕、信じませ──」 「こっちに来てくれ」  シマりんさんが、変なステッキでソファのほうを示した。訝りながらも、シマりんさんが真剣な表情だったので、一応ソファに向かう。  背もたれから覗き込んだ僕は、驚愕のあまり腰を抜かしそうになった。  一人の男が、両手を胸の上で組み、昏々(こんこん)と眠っている──眠っているんだろう、たぶん。生きてるよな……? 「彼が久我亮衛。3日前から眠り続けている。調べたところ、ネムールの呪いがかけられているのが解った」 「あの、シマりんさん……」 「うん?」 「魔法使いは架空のものだけど、呪いは存在するんですか……?」 「おいおい、魔法と呪いを一緒にするな。これだから素人は……」  え、ここ、怒られるとこ? 「ネムールの呪いを解く方法はひとつ」  明智さんが、凛とした声で言った。 ・「久我亮衛の血縁者の中で、最も純粋な魂を持つ者の髪の毛を1本、久我亮衛が心から愛する者の小指に結び、久我亮衛に口付けをする」   ⇒https://estar.jp/novels/25650637/viewer?page=12 ・「久我亮衛の血縁者の中で、最も純粋な魂を持つ者が、久我亮衛に口付けする」   ⇒https://estar.jp/novels/25650637/viewer?page=30
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