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「ここにいたのか……随分探したんだぞ」
巨大な竜は、忽ち 豚へと姿を変えた。
「お父さぁんっ! 」
醤子の腕から飛び出した子豚は、父のもとへと駆けていく。
「なんか、痩せたんじゃない? 」
心配そうに問う子豚を、父豚は安心させるように包み込んだ。
「チャーシューを愛する者の為に、ちっとばかり身を削ったからな。なぁに、最近は太りすぎていたから、丁度良かったさぁ」
豪快に笑う彼につられるように、皆も笑顔になった。
「もっとダイエットしたいなら、喜んで付き合うよぉ♪ 」
邪美は嬉しそうに跳ねて、ウィンクを送る。
「子豚ちゃんも、ね? 」
と、その時だ。
「大変だわ! 」
望月先生が突然、素っ頓狂な声を上げた。
「文化祭本番まで、時間がないわ! まだ舞台は全然仕上がっていないというのに、いつの間に……」
「この店のエリアは、時間の流れが違うらしいからな」
淡々と語る店主。
「それで、後どれくらいなんですか」
涼子部長の問いに、望月先生が答える。
「開催時間まで、残り後――」
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次のお話(井沢優さん)
https://estar.jp/novels/25704102/viewer?page=3
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