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天を仰ぎ見る。
ブラックホールの入り口のような黒い渦が広がっている。
「久しぶりに、あれが現れたわね」
望月は薄い笑みを浮かべる。
望月は長年この入り口を見て来て、自分が異空間に行かないようにコントロールすることができるようになっていた。
文化祭の時期に学園前のラーメン屋に行った演劇部員が、何年かに一度この穴に取り込まれるのだ。何故現れるのかは不明だが、演技に悩む若者を取り込む穴なのだということだけはわかっている。
「あのラーメン屋はいったい何者なのかしら」
望月は天井の黒い渦に向かって呟いた。
ーーーーー
「ねぇ、望月先生はどこなの? ラーメン屋までは一緒に来たよね」
邪美は不安そうな声で呟く。
「来たと思う…」
京太郎は邪美を安心させるために答えようとするが、曖昧な言葉になる。
「じゃあ、なんでいないの」
「一人だけ違うところに行っちゃって、迷子になってないかな」
邪美は不安が募って泣き出してしまう。
「泣かないで!」
みんなが不安になっているとき、しっかりしなければと、涼子は部長としての役割を全うしようと必死になる。
「だって、だって…」
みんなが邪美の言葉に息を飲む。
「私、チャーシュー食べたかったー!」
「あ、そ、それね」
「てっきり望月先生を心配しているのかと…」
「私、世界で一番チャーシューを、あ、あ、愛してる…」
邪美の言葉に、誰も言葉を返せない。でも何故か、邪美の涙に深い愛を感じた。
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