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「情熱について」
先日の万字の方
https://estar.jp/novels/25699977/viewer?page=114
こちらの最後に「書きたい情熱」について感想を述べていますが、もしかしたら補足が足りてないかも? と思ったので、補足しておきます。
よくドラマやアニメとかで「自分達が楽しまなきゃお客さんには伝わらない!」みたいな台詞がありますが、そういうのとは全く別の理由がここにはあります。
真逆です。
「書くにあたって物凄い労力と苦悩を強いられ、かつ大きな批判もされるけれど、それでも書きたいのか?」っていう、反抗の情熱を言っています。
世の中から大批判を食らいながらでも、一縷の望みをかけて掘り当てられる可能性がほぼない原油を掘れるのか? って話です。
実はこれ、数年前の万字の第一回にも同じ事を言っているはずです。(たぶん)
初回はジャンル指定の募集で「BL限定」で募集していました。
その時の募集意図で「BLはメインストリームではないから」と述べています。
正直なところ、今でもなお、BLは一部のオタクによるエロ本扱いされている場合が多いはずです。
でも、ここまで沢山の人が筆を執っているのならば、それ以外の何かがあるのだろうと察しての募集でした。
実際に読んでみて、自分でも書いてみて、色々な思考が巡っていると理解できました。
でも! テレビドラマの月9でBLができる状況には、未だになっていませんし、今後もならないです。
「おっさんずラブ」が頑張っていますが、そもそもBLじゃないですし、そもそも深夜放送枠です。
ゴールデンにはなりません。
内容云々の前に、同性愛でゴールデンとか無いです。
そんなことは、書き手はみんな分かっているはずです。でも書く!
その情熱に触れたくて、男の私は「BL限定」で募集したのです。
この情熱は、反逆の狼煙のようなもので、「自分が好き!」というのも勿論あるはずですが、世間に対する使命感、アンチテーゼがあるはずなのです。
今回私が使った情熱は、これと同意義です。
業界から後ろ指を指される事をやりきれる「情熱」です。
これに「はっ!」と、させられたのは、去年やっていたハリウッド映画「ブレット・トレイン」を見た時です。
こちら、伊坂幸太郎氏の「マリアビートル」の映画化ですが、んん、すいません、圧倒的にハリウッド版の方が良かったです。
私、そもそも小説の方を初めに読んでいて、それでいて映画版、ましてや海外版の方が面白いとか、初めてでした。
あの映画の圧倒的だった点は一つです。
誰も、やらない事をした。
これはプロットにあります。
ドラマの基本ですが「何かを背負った人が主人公で、何かの苦難を受け、乗り越えて何かを悟る」という基本定義があります。
あの主人公(ブラット・ピット)は、何も背負っていないです。只々、偶然にも新幹線に乗り合わせただけの人です。
しかし、その周囲にドラマを持った人達が次々と乗り込んできて、殺し合いを始めます。そこに巻き込まれます。
で、こういうのって、ミッドポイントくらいで「主人公も実はこういう背景があって……参戦!」となって、この戦いに参加して、参戦した上でピンチになるのです。
が! これが、一切ない!
只々、巻き込まれるだけ!
主役なのに苦悩なし! 巻き込まれるだけ!
ブラット・ピットを使っておいて、巻き込まれるだけ!
これを観た時、私は愕然としました。
「やられた!」
です。
プロットの勉強をしている人なら、一度は必ず思った事があるはずです。
「なんで、主人公は苦難を背負わないとアカンねん!」
そんな常識があるせいで、世の中のドラマは不幸合戦です。
病気、いじめ、DV、借金、破産、そんなのばっかり! 何が面白いの、それ?
子供がいじめられて、それで泣いて、何が面白いの? 社会問題を取り上げて、泣いて……何が面白いの?
そう思った事がある作家は山ほどいます。私もそうです。
でも、それがドラマ作りの常識なので、それを強要されます。
「何も背負わない主人公とか、規則違反だ!」くらいに言われます。
でも皆、うすうす気付いています。
そんなこと、ないやろ?
でも、これが定義されるには、それなりの歴史と意味があります。普通の人達には、それが見つけられなかったのです。
「人と違う事をしてはいけない」というルートの中で蠢いています。そっちの方が、確実に稼げて、評価を得られる確率も高いです。
あるか無いかも分からない原油を掘りに行くより、スタンドでガソリン買った方が早いんです。
それは分かります。でもそれだと、なかなか差別化にならないんです。
やればやるほど理解できますが、この原油はでる可能性が極めて低いです。みんな、喉がカラカラになって、面倒臭いのでスタンドに向かうのです。
その中で、まだ原油を掘れますか?
っていうのが、私の最近持っている「情熱」です。
「ブラット・トレイン」は、本当にやられました。
「お前等、この源泉あきらめたんだろ? あったわ!」って、ドヤ顔されました。
これが悔しくて、私も原油を掘りに出かける事にしました。
現実世界ではものっすごい、否定されます。
「何やってんの? 馬鹿なの?」
くらいの事、日常的に言われます。
でも私は、「誰も居ないここで絶対に油だしたる!」って言っています。
気の狂った人扱いですが、それでもいいです。安牌を取りたくて脱サラしたわけじゃないので……。
因みに、これを別視点で翻訳しておきますと、
「デカい口叩く前に、基本を押さえて結果を出せよ」となります。
が、結果出した上でもう一つ上に行こうとしたら「お前、この先行きたいなら基本だけじゃダメだよ」って、もっと上の人に言われたのも、この考えの切っ掛けでした。
っていう、「情熱」の事を上述の書評では述べました。
更に補足ですが、この「誰も知らない原油探し」をする場合、基礎を押さえるのは当然ですし、「自分の好きなこと」はできません。
それはもう、ほぼ完全に、できません。
「自分の好きな事をやる」の難易度って、どれくらいしょうか?
そこらの幼稚園児でも自分の好きな事をやるのですが、ここに情熱があるのでしょうか?
「私はこれが好き」は、原動力にはなるはずです。
でもそれはお客さんには関係ないです。
で、ここを勘違いしている人が多いですが、作家にとってのお客さんって「出版社」とか「テレビ局」ですからね。
道端を歩いている人ではないです。手に取って本を読む人じゃないです。
ガチガチの玄人が、お客さんです。
出版の編集とか何千冊も小説を読んでいる人で、テレビ局のPとか何千本も映画をみている常識外れの人達です。
この化物達に「反抗」するのが、「好きな事で生きる」なんです。
そんな簡単な事ではないので、私は今まで万字では基礎の話しかしていません。面白いかどうかも言っていません。
「理屈ではこう」としか言っていないです。
私くらいギャフンと言わせないと、その先はまず無いので、プロ志望の方は頑張ってみてください。
と、もうこの万字企画は終わる予定なのですが、語ってみました。
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