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水翔優晴さん
心の傷が癒えるとき
https://estar.jp/novels/25877659
とりあえずこの作品を読み始めて、最初に頭に浮かんだ言葉は「昭和?」です。
僕が文系で、この物語りの登場人物たちが、物質生命理工学科の学生だからでしょうか。
特に、会話の節々に、現代っぽくない昭和感を感じました。
まず書き出しで、奈帆ちゃんが森広くんを中庭に呼び出して、告白をするんですけどね。
これから口にする言葉には、勇気が必要だった。
という一文があった後で、
「私、森広くんの寡黙だけど、理知的なところに惹かれたの。真剣に交際したい」
って、今どきの大学生の女の子が、こんな告白します?
勇気を出して告白するのだから、
「あ、あの……。あのね。私、前から森広くんのことが、良いなぁと思ってて……。で、でね。えっと……良かったら、私と付き合ってもらえませんか?」
くらいな感じじゃないですかね?
とりあえず、地の文を抜いて、台詞だけ書き出すと、ちゃんとした会話になっていないって気がつくと思うんですよ。
「講義が終わったら、一緒に中庭に来て欲しいの」
「私、森広くんの寡黙だけど、理知的なところに惹かれたの。真剣に交際したい」
「奈帆さんの気持ちを受け入れられない、本当にすまない」
「何か理由があるのかもしれないのね。でも、友達として時間を共有したい。森広くんの負担にならなければ」
「奈帆さんの気持ちはとても嬉しい。奈帆さんが悪いわけではなく、僕自身の問題なんだ。僕も友達として関係を築いていきたい」
どうです? 会話のキャッチボールがおかしくありませんか?
女の子が勇気を出して告白するという設定のシーンを僕が書くと、
「あのさぁ、講義が終わったら、一緒に中庭に来て欲しいんだけど、良いかな?」
「あ、あの……。あのね。私、前から森広くんの寡黙だけど、理知的なところとか、良いなぁと思ってて……。で、でね。えっと……良かったら、私と付き合ってもらえませんか?」
「ご、ごめん。僕は……」
「あ、うん。そっか……。だよね。うん。いいの。全然、全然、気にしないで」
「本当にごめん」
「あ、うん。でも……友達として時間を共有するとか……そういうのは、ダメかな?」
「あ、それはもちろん、僕も奈帆さんとは友達として、これからも関係を築いていきたいと思っているから」
こんなかんじですかね。
読み比べてもらうと、昭和と令和って感じがするでしょ?
エブリスタで人気作家を目指すのでしたら、読者に感情移入をさせることが必須ですから、読者が普段使用している言葉を使った方が良いです。
長くなるので次のページへ
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