日帰り温泉&焼肉プロジェクト

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日帰り温泉&焼肉プロジェクト

 大学時代の友人、N子は焼肉が好きである。  地元の友人グループと食べ放題に行っては、時間目いっぱい肉を食らうのだと言う。  かれこれ長い付き合いになるが、正直彼女が大食いだという印象はない。  むしろ、食べきれないものや、好きじゃないものが私に回ってくる方が多いと思っていた。  だが、思い返すと、キルフェボンを教えてもらったのも、餃子を一緒に食べに行ったのもN子だ。 ※キルフェボンの話 https://estar.jp/novels/25472187/viewer?page=93 ※宇都宮餃子の話 https://estar.jp/novels/26005864/viewer?page=64  わかった。この人多分、偏食だ。  好きなものは、肉と甘いもの、お子様ランチこそ、ストライク。好きなものはとことん食べるタイプだ。何でも、延々食べ続ける私とは、タイプが違う。  話を戻そう。  そんな彼女の焼肉トークを聞いていると、俄然こちらも食べたくなってくる。  しかも、LINE通話をしている時は、決まって晩酌中。そんな時に、焼肉の話をされてみろ、食べたくてたまらなくなる。  焼肉なんてしばらく食べていないなあ。  今でこそ、1人焼肉なんてスタイルも確立されているが、行くなら誰かと行きたいところだ。  そうなると、人と食べる機会の少ない私に、焼肉が回って来る確率はがくんと減る。 「いいなあ、私も焼肉食べたい」 「え、じゃあ行こうよ」 「行く?」 「行こうぜ」  N子ほど親しい友人なら、ホイホイ予定を決められるし、休みも合うしで、これ以上ない人選だと思う。  しかし問題は、2人があまりにも離れすぎていることだ。  直線距離にして、およそ110km。電車で行くと約3時間。  それでも行くか。焼肉を食べるためだけに。 「もしこっちで店選ぶとしたら、N子、わざわざ東京まで来るの大変じゃない?」 「いやあ、コロナ前は、しょっちゅう東京行ってたし」  そう言えば、私も食べたいがためだけに、日立に行ってたわ。
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