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数ヶ月前、ショッピングモールの貼り紙を見たとき、男は生存者たちの元へ行くべきか悩んだ。だが、犬を連れて行くことはできない。犬は湖を出たら最後、他の犬に襲われて感染するだろうし、そうでなくても生存者たちに殺されてしまう。男にはこの犬を捨てることなどできなかった。そして、男はこの小屋で犬と生きることを選んだ。
それから間もなく、街は壊滅した。だが、湖上にひっそりと佇むこの小屋にいる限り、安全なのだ。小さな犬が男を湖に引き取め、結果的にその命を救ったのだった。
『・・・現在の所在地、連絡されたし』
今、ここにいるのは、感染していない最後の1匹の犬と、最後のひとりの生存者なのかもしれない。だが、それを確かめる方法は、もうなかった。
〜終わり〜
写真 中建さんのエッセイより
(許可を得て使わせていただいております。無断複製厳禁)
https://estar.jp/novels/25705187/viewer?page=239
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