第九章 霊媒師こぼれ話_エイミウの星の砂

43/102
前へ
/383ページ
次へ
~~~バーベキューからの帰り道・水渦(みうず)視点~~~ あっという間の一日だった。 会社の休みに大人数で集まる事も、そこに私がいる事も、数年前なら考えられない事だけど、人生初のバーベキューは夢のように楽しくて、機会があればまた行きたいと思うほど。 そして今は帰り道。 少し先には大福が、私の横には岡村さんが歩いている。 バーベキューは終わったけれど、私にとっての至福の時間は終わっていない。 こうして並んで道を歩けば心は満ちて、月の明かりが地面を照らし……って、月……月か……ああ、そうだった。 思えばいつも月が出ていた。 昔、岡村さんと志村さんと現場の打ち上げをした帰り道も…… 昔、岡村さんとのツーマンセルで山梨の現場に行った時も…… 昔、岡村さんと姉ちゃんに会いに行った日も……★   蒼い月が満ちていて、彼の言葉と月の光が揃う時、私に大きな変化があった。 今夜も同じ満月だ。 月は大きく優しく輝き、腕を伸ばせば届きそうな低い位置。 岡村さんの髪の毛が、月の光に薄っすら蒼く染まっている。 それがあまりに美しく、岡村さんに気付かれないよう、視界の端で艶の髪を盗み見た。 歩くたびに毛先が揺れる、クセのない素直な髪が彼らしい……などと、心の中で思っていると。 「水渦(みうず)さん、今日はすごく楽しかったね」 彼はこう言い、兆しも無しにこちらを向いた。 その瞬間。 私は密かに慌てたものの、すぐに目線を前にやり、何事も無かったように振る舞った。 「そうですね。とても楽しかったです」 我ながら短い一言、だけどこれが精一杯だ。 ばれてはいけない、……岡村さんは優しい人だが、さすがに自分が盗み見されていたなどと、知れてしまえば気味が悪いと思われる。 隣に並んで歩いているのに声も掛けずに黙って盗み見、自分でも変だと思うが距離が近いとどうにも照れてしまうのだ。 せめて、岡村さんが見目麗しくなかったら、髪が綺麗でなかったら、瞳が澄んでなかったら、優しい声ではなかったら……良かったのだが、そうではない。 付き合って二年になるが、日に日に想いは募るばかりで慣れる気配は皆無に等しい。 ★神奈川のポ現の現場の次の日、ジャッキーの家で3人で打ち上げをした帰り道のシーンがこの辺りですhttps://estar.jp/novels/24474083/viewer?page=711水渦(みうず)とエイミーが山梨の昭和メンズの現場を終わらせ月夜を見てるシーンがこの辺りですhttps://estar.jp/novels/24474083/viewer?page=1972&preview=1水渦(みうず)とエイミーで愛華の店、ラブフラワーに行った帰り道のシーンがこの辺りですhttps://estar.jp/novels/24474083/viewer?page=2036&preview=1 ★3か所共『霊媒師募集』本編に飛びます(*´▽`*)
/383ページ

最初のコメントを投稿しよう!

479人が本棚に入れています
本棚に追加