ラファウ・ブレハッチ

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ラファウ・ブレハッチ

第5回浜松国際ピアノコンクール第2位 第15回ショパン国際ピアノコンクール優勝 という華やかな受賞歴を持つブレハッチです 僕は数年前、ショパンに関する書籍を読み漁り、何十人というショパン弾きの演奏を毎日のように聞いていました。 その頃、僕は 『裏路地からしか行けない天国』 https://estar.jp/novels/25537406 の構想を練っていて、作中ヒロイン冬香は前ページのサンソン・フランソワのイメージでした。 僕はもうフランソワを卒業しなければいけないと何年も悩んでいました。 フランソワにはない決定的な魅力を持つショパン弾きを探していました。 ある時、ブレハッチに突き当りました。 突き当たる・・・初めは???胸の奥に疑問符が無数に飛び交いました。 何だ?!コイツ?! まず皆さんがよく知っている『仔犬のワルツ』をお聞き下さい。 YouTubeでは【ブレハッチ 仔犬のワルツ】で、すぐ出ます。 超絶技巧です。指の動きが早過ぎて耳がついて行けない。 にもかかわらず、大切な()は気持ちよく確保され、全体としては優美な調べとなっています。 彼の演奏するショパンの中で特に聞いて頂きたいのは 『ポロネーズ 5番』です。 【ブレハッチ ポロネーズ5番】 で すぐ検索できます。 ポロネーズ3番「軍隊」 ポロネーズ6番「英雄」 ポロネーズ7番「幻想」 は 有名ですが 僕は特に 5番が好きです。 ショパンには切なく甘美で繊細なイメージを抱く方が多いかと思いますが。 ショパンは、僕の中では、強靭で先鋭的な哲学者です。 音の配列と演奏の技巧で人間の可能性を限界まで思索し哲学した超知性的アーティストです。 「ポロネーズ 5番」は、そんなショパンの孤高の魂を(じか)に感じることができる耳で聴く哲学書だと僕は感じています。 僕は、フランソワのショパンを卒業し、ブレハッチの感性でショパンに触れる時間を選びました。 裏路地~ で『冬香』は殺してしまいました。 知的な『秋穂』に相応しいブレハッチの台頭。 裏路地~ は、僕自身の魂のクーデターの記録。
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