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染まる
妄コン「染まる」の受賞作品の感想です。
作品はこちらから読めます。
https://estar.jp/official_contests/159699
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【大賞】
『藍より黒へ染まりゆく』 aqri 様
江戸時代の藍染職人の物語です。
今回の妄コンのお題が「染まる」ということで、何が染まり、さらに別の何かも染まる、という書き方の作品が多かったのではないでしょうか。
この大賞作品は、染め物の藍染にプラスして、人の心が黒く染まる、という要素を掛け合わせています。
職人としての藤吉の立派な姿勢に読者は感情移入しますので、当然、殺人事件の犯人ではないはず、と思うわけです。
実際、取り調べの当初は、血で自慢の藍染を汚すようなことはしない! と、職人らしい受け答えで犯行を否定します。
ところが……
藤吉はこれまでの答弁をすべてひっくり返して、自分がやったと認めます。
読者としてはびっくりです!
藤吉は、本当は悪いやつだったのか。
それとも、何らかの理由があって罪をかぶろうとしているのか。
真相が明かされ、読者はなるほど……と思うのですが……
この作品の題名は、「藍より黒へ染まりゆく」。
予想外の結末に、読者の心も染められてしまいます。
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【私の作品】
『白く染める』 神楽堂@はいほー
https://estar.jp/novels/26043703
ここで私の作品の紹介です。
私も藍染をテーマにして書いています。
大賞作品は黒く染まりましたが、私の作品は白く染まります。
作品の雰囲気も結末も、いろいろと対称的になっています。
新潟で伝統的に行われている「雪晒し」という技法を作品化したくて書いたものです。
しかし、舞台を新潟にしてしまうと、ただのドキュメンタリーになってしまいますので、あえて、舞台は山形にしました。
新潟に嫁いだ姉から、雪晒しの技法を教えてもらう、という設定です。
構想に時間をかけた作品で、思い入れの強い作品です。
読んでいただけると嬉しいです。
https://estar.jp/novels/26043703
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次回も、妄コン「染める」の感想です。
お楽しみに!!
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