このコンテストは受付を終了しました

三行から参加できる 超・妄想コンテスト 第186回「染まる」
 一口に染まるといっても、“色が染みる”“影響を受けて感化される”など全く違う展開が出来る今回のテーマ。だからこそ何がどのように、どうして染まるのかのアイディアに一捻りある作品が多かったように思います。  また今回はテーマをここぞという場面で活かす作品が多く、読了後しばらく心に残るような設定、情景が思わず目に浮かぶような筆力のある作品が特に印象に残りました。

大賞

御上にも献上されるほど美しい藍染を代々守ってきた染物屋・藤吉。外国の品が流行り始め職人の中には方向転換する者も多かったが、藤吉は頑なに手法を変えようとせず、周囲から馬鹿にされていた。描写力、キャラクター設定のレベルが高く、短編と思えない重厚感のあるヒューマンドラマでした。色の表現が美しく、感情が染まる様子を藍染に例えながら描くシーンの言葉選びも見事です。総じてレベルの高い作品でした。

準大賞

書道部員の主人公は顧問に想いを寄せている。同学年の2人と切磋琢磨しながら、最後の大会を迎えるが……。青春ものとしての綺麗事や脚色を効かせたファンタジーもなく、ひたすらリアルに打ちのめされる作品です。途中にある違和感がきちんと最後に帰結する点や、登場人物に自然に感情移入してしまう展開も見事です。この経験を背負った彼女がその後、高校時代を笑って振り返れるようになったらいいと願わずにはいられません。

入賞

金は王族だけが纏える特別な色。そしてその色を染めるのもまた、特別な集落の民だけだった。“瞳に映した色を布や糸に移せる”という、テーマを一ひねりした能力がファンタジックかつロマンチックで、物語全体に活かされていました。恋の鞘当てにドキドキしつつも、鈍感でピュアな登場人物ばかりのため、そっと背を押したくなります。

佳作

都会の大学に進学した友人たちと、紅葉狩りに来た主人公。すっかり変わってしまった彼らに辟易していると、ピンク色に染まった紅葉を発見して……。都会に染まった友人たちとの関係が主軸のヒューマンドラマかと思いきや、奇妙な色に染まった紅葉をきっかけに、まさに染め上げるように不気味さが浸食してくる様にぞくぞくしました。人もまた群れで生きる動物であり、知らず群れの色に染まっているものなのだと考えさせられます。
池に特別な染料を流し鮮やかに彩る空染。この池は人間界の空で、空染は昼の空を、兄弟子の星撒が夜空を染めている。本当は星撒の手伝いもしたい空染だが……。短い言葉で畳みかけるように表現される「空を染める」行為の描写が美しい作品です。色から伝わる温度や表す感情の表現も上手く活かされています。空染や星撒の関係も微笑ましく、読了後は穏やかな気持ちになりました。
旅人たちに好意で寝床を貸している祖母とお七。ところが祖母が殺され、村の娘達も次々と殺されてゆく。そんな中、奇妙な風体の男と赤子が訪れて――? 江戸時代を舞台にしたホラーファンタジーで、確かな筆力で読み応えのある作品です。天城や永遠にまつわるまだ明かされていない設定にも興味を惹かれます。お札が染まる設定も少ないながら、効果的に使われていました。
幼い頃から祖母と二人で暮らし、育てられてきた琴子。「かわいそう」と言う周囲とは裏腹に、それはとても幸福な日々だった。幸せの裏にどんな事情があったのか、知れば知るほど祖母の優しさが温かく、必ず藤田さんに連絡が行くよう仕向けた気遣いに胸が締め付けられます。そして何より「時間の色に染まる」という言葉がロマンに溢れていて印象的です。とても丁寧に描かれており、胸の奥を温めてくれる作品でした。
その里では、椿は死人を愛する花だと恐れられていた。体の弱い主人公は部屋へ少しずつ近づくように花を落とす椿を見ながら、ある約束を思い出していた――。雪に映える椿の描写が美しいです。健康な妹を羨む気持ち、昔の約束に縋ってしまう心情が丁寧に描かれています。物語終盤、最後のひとときを迎えるまでのシーンは、この世ではないものを見事に表現しており、非常に幻想的。白に映える朱が目に浮かぶようでした。

超短編賞

小さな頃から絵を描くのが好きだった主人公は、写実的な絵を描くことに強いこだわりを持っている。しかしある日出会った、りんごを青く塗る人にわけを尋ねると……。自分の固定観念にハッと気づかされます。短いが故に多くは語られておらず、読了後も心に残る作品です。何事も自分ひとりの見方で判断してはいけないなと考えさせられました。読点の使い方も上手い作品です。

続きが読みたい賞

姉と婚約者が暮らす家で、おしゃれなお茶を見つけた万里菜。翌日そのお茶を学校で飲もうとすると、色が違うことに気が付いて――? 今回のテーマにぴったりの小道具がキーになっており、読みながら学べる完成度の高い作品です。万里菜やちとせだけでなく、先輩のキャラもひとクセあって印象に残ります。先輩の謎解きストーリーをシリーズで読んでみたくなりました。

トンデモ賞

2年ぶりに帰省した真帆を出迎えたのは、見知らぬ筋肉質な男だった。しかし彼は真帆を「姉ちゃん」と呼ぶ。まさか彼はあのかわいかった弟……!? 思考が筋肉に染まった一家。突き抜けている設定で思わず笑ってしまいました。テンポが良くするすると読み進められます。ラスト2行には思わずつっこまざるを得ませんでした。

優秀作品

ホラー 完結
9分 (5,028文字)

ピックアップルーキー

スケジュール
・応募期間:2022年11月9日(水) 12:00:00 ~ 2022年12月11日(日) 27: 59: 59 ・最終結果発表:2023年2月上旬頃予定
賞
大賞(賞金3万円+選評)1作品 準大賞(賞金2万円+選評)1作品 入賞(賞金1万円+選評)1作品 佳作(選評)数作品   超短編賞(選評)  続きが読みたい賞(選評)  トンデモ賞(選評) ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタの短編小説シリーズ「5分シリーズ」に収録される可能性があります。(収録を依頼する場合には、受賞者に別途、ご連絡させていただきます。) 短編小説シリーズ「5分シリーズ」 ※受賞作品はエブリスタ公式SNS等で配信・紹介等される可能性があります。  優秀作品(結果発表ページでご紹介)  ピックアップルーキー(結果発表ページでご紹介) ※大賞・準大賞・入賞作品を除く上位30作品を優秀作品として、結果発表ページでご紹介します。 ※上位30作品まであと一歩だった作品の中で応募期間終了日より3ヶ月以内に会員登録された新規作家の作品を、ピックアップルーキーとして数点、結果発表ページでご紹介させていただきます。
募集概要
新作限定!初心者大歓迎! たった100文字の妄想でも気軽に参加できちゃう短編コンテスト、第186弾です。 今回のテーマは、「染まる」です。 どこかに必ず「染まる」の要素が登場する妄想を投稿してください。
・現代アーティストの彼に「あなた色に染めて」と言ったら、本当に私がアートの素材にされてしまった!? ・染物の伝統工芸を体験。その技術に感動し、脱サラして職人に弟子入りを決意! ・陰謀論を語り始めた母。どうやら、SNSで思考を染められてしまったらしく……。 ・子供の服にカレー染みが!急いで洗おうとしたら、「やめてくれ」と染みに懇願されて?
紅葉に伝統の染物。美しく染まるものがある一方、望まぬ何かに染まると、後戻りできなくなってしまうかも――。 そんな「染まる」にまつわるあなたの妄想をお待ちしています! 過去の妄想コンテストはこちら
応募要項
・本コンテストの応募期間内に新規公開された作品。 ・文字数は100文字(三行程度)~8000文字 ※制限文字数未満又は制限文字数を超えた作品は選考対象外となります。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。 ※連載中の作品の場合、応募期間終了時点での作品の完成度も含めて選考いたします。 ※エブリスタ内の公式コンテストや他社サービス等に応募中、または過去に受賞したことのある作品はご応募いただけません。
メールアドレスの受信設定について
選評の送付や書籍化の打診は、エブリスタに登録されたメールアドレス宛にご連絡いたします。迷惑メール防止の為にドメイン指定受信の設定をされている場合、メールが正しく届かないことがございますので、「@estar.jp」を受信できるよう設定して下さい。
応募の辞退について
応募期間中であれば、作品管理から応募の辞退が可能です。(操作手順はこちら) 締切後の応募辞退は原則として出来ませんので、ご応募の際はご注意ください。

次回予告

次回、妄想コンテスト第187回のテーマは「忘れもの」です。 本コンテストと平行する形で2022年11月22日(火)より開催予定です。 ※作品は次回の妄想コンテスト第187回の応募期間内に新規公開してください。応募期間前に公開した作品はご応募いただけませんので、ご注意ください。

コンテストの注意事項(必読)

超・妄想コンテスト