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子供たち
2011年3月11日。
東日本大震災が起きたあの日、私は福島県にある実家で過ごしていた。
私の故郷は、第一原子力発電所の事故があった、双葉郡にある。
二度と帰ることが出来なくなってしまったあの地から、何もわからないまま緊急避難を言い渡され、私の被災生活がはじまった。
大切なもの全てを、取り戻すことも出来ず、失ってしまった自分の歴史の半分を今も探しながら生きてるよ。
原発の被災者は、どこでも邪魔者扱いを受けた。
病院もコンビニもホテルもレストランも、「被災者お断り」と書かれた紙を入り口に貼っていた。
そんなの見たことない、と言われることもあったけど、私たちは幾つも見たよ。
避難生活の中で、私は妊娠をして、避難先の街にある産婦人科に行った。
どうして、あの毎日の中で、信じ込んでいたんだろうね?
「おめでとうございます」って、言ってもらえるだなんて。
こんな世界に、産み落とされる私の宝物。
ごめんね、だけど、綺麗なものをたくさん一緒に見ようね。
命を拒絶された過去が、あまりに重くて、だけど力をもらったんだ。
私は戦う、こんな最低なことがもう、許されてしまうなら、息子と幸せになることを誓う、その為ならなんでもする。
疲れ切って死んでしまったような私を、いつも元気にしてくれたのは、子供たちの存在だった。
息子だけじゃない、生きて生きて生きて、様々な場所で出会った子供たちの笑顔が、明るい言葉が、それを守ろうとする人たちの存在が、私が生きて行けると思える日々をくれた。
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【それでも私はまだ失う】
https://estar.jp/novels/25988033
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⬆当時のことを、詳しく色々と書いていたものです。
よろしければ、読んで頂けましたらありがたいです。
この日々から、私が得た傷、思い出の身代わりのように絶望をいつも抱いていた。
それらが、救われた時の話を。
少しだけ、書きたいと思います。
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