17人が本棚に入れています
本棚に追加
『大嫌いだったクリスマス』https://estar.jp/novels/25898340
という作品のなかに出てくる村上清くんの話しです。
今から14年前の4月某日。夜10時過ぎに実家の兄から電話があった。
ー新聞見たか?ー
「新聞?ううん」
ー遠藤勝紀がバイクの事故で死んだぞー
「遠藤……勝紀?誰だっけ?」
ーあのな……小学校の同級生だろが。たく、お前は……まぁ、しゃないな。お前と村上くんだっけ?彼をいじめていた親玉の一人だからな。名前も顔も思い出しくもないよな。葬式に先生とクラスメイト全員参加するから出ろって、幹事の厚海という女から電話があったー
「体面を繕ってるんでしょ。馬鹿みたい。N中にはいじめがなかった。みんな嘘ばっか信じて、みんな真実から目を背けて、現実を見ようとはしないんだもの。村上くんが浮かばれない」
ー亜子、アイツらもしかしたら村上くんが死んだことを知らないかもよー
「え?」一瞬自分の耳を疑った。
ー村上くんも出るから、確かそんな話しをしていたからー
中学3年生のときに清くんは事故に遭い、ずっと寝たきりで意識が一度も戻らないまま二十歳の誕生日を迎える前に亡くなった。新聞のお悔やみ情報に清くんの葬儀のことは掲載していない。私と家族のみで静かに見送った。
最初のコメントを投稿しよう!