第3話 菖蒲・2

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 美羽は、一日の半分の量の野菜が摂れる「野菜たっぷり皿うどん」を食べながら 「……正田彩子(しょうだあやこ)さんのことね」  と、頷いた。 +++++  先ほど、ミスコンエントリーが締め切られ、そのまま1次審査へと移った。   現・ミスの強みで、美羽は1次審査はパスされている。これから戦うであろう他のエントリーした子達へ関心は特になかったので、早々に近藤大奈が待つ学食へと向かおうとしていた時だ。 「ちょぉ、待てぇ! 逃げんのか、ミス!」  1次審査スピーチ用のマイク越し。いきなり第二講堂に響き渡るケンカ腰の声に、御前崎美羽は 「なにごと?」  と振り返った。  第二講堂の前方……いつもは講義する教官の立つ位置に、すらりとした印象の女子が仁王立ちで立っている。マイクを握っている所を見ると、先ほどの発言は彼女が言ったのに、間違いなさそうだ。  美羽の居る講堂出口から見ても一目で170㎝は優に越えている高身長女子が、悪役(ヒール)プロレスラーのマイクパフォーマンスさながらに美羽を指さしていた。    ミスコン運営委員会の北野(※)が慌てて 「君! 失礼な言い方するんじゃない。現ミスの御前崎さんは優先枠だからスピーチは免除されているんだ」  と説明したが、彼女はそんなルールを把握していなかった。  大人っぽいメイクをしているが、ミスコンのルールを把握していないのなら入学したての1年生かもしれない。だが、美羽のことを現「ミス」だと分かって、ケンカを売っている。 「ふぅん。現ミスは継子(ままこ)扱いなんだぁ」  スレンダー女子の勢いは収まらない。 (※)ミスコン運営委員の北野君は、学生会所属です。近藤大奈と仲良くしてます。「教育ノススメ。+」該当頁https://estar.jp/novels/25782664/viewer?page=765
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