「六月の雫」 Rurei先生

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「六月の雫」 Rurei先生

++++++++ | 基本情報 | ++++++++ https://estar.jp/novels/26235885 完結済 所要時間:27分 (15,879文字) ジャンル:ヒューマンドラマ 過激表現:なし あらすじ: ──これは僕が犯した罪の告白である。 +++++++ | テーマ | +++++++ 突然ですが皆さんは家族を愛していますか? 「そんなワケないだろ! バーロー!」と、ほとんどの人は言うかもしれません。気持ちを素直に口にするのは、かなり恥ずかしいですもんね。僕も恥ずかしいです。 では、本題に入ります。 今回の作品「六月の雫」は、俳優の父と歌手の母を持つ主人公が、自分の罪を語る物語。恐らく、この作品の本来のテーマは「罪と罰」や「家族」に近いものなのだと思います。 僕は「家族」というテーマの方がしっくりきました。 「家族」というテーマを軸に、「六月の雫」の考察を進めていこうと思います。 ++++++ | 考察 | ++++++ ▶︎登場人物 【主人公】 俳優と歌手の間に生まれた一人息子。 才能ある両親と違って、平凡な青年と思われる。 彼は父親の遺伝子を受け継いだ……のかもしれない。 【父】 名の知れ渡った俳優で、ハンサムで、穏やかな性格の持ち主。 要するに人生の勝ち組……(TдT) そんな父の本性は、クソ野郎。 【母】 歌の才能に恵まれた歌手で、名家の美しいお嬢様で純粋な心の持ち主。 ん? いや、待て。イケメン父に美人母から生まれた主人公って、実はイケメンなのでは……(-_-)!! 【Rさん】 一応、女優だが大根役者である。 父の後輩であり、母の大ファンでもあり、母と大の仲良し。 そんな彼女の本性は、恩知らず。 【Kくん】 主人公の友人。 主人公が落ちぶれる切っ掛けを作った悪いお人。 ▶︎考察・読みどころ ストーリーは、車椅子の母が雨を眺める儚いシーンから始まります。 彼女は大好きな歌を歌おうとするが、声が出ません。そして、声が出なくなったあの日を思い出します。それは6年前の出来事。主人公は高校生でした。 そこから、主人公の懺悔が語られ、本編が始まります。 ページをめくってもらえればわかりますが、当時の主人公の行動……クソです。 道徳の話として大事なことなので、もう一度言います。 クソです笑 Kくんに誘われるがまま、とんでもない愚行を犯し、愚行の積み重ねで膨らんだ借金を返すために父を脅したり、挙げ句の果てに家庭を壊した。 まだ高校生だったとはいえ、それでも若気の至りで済まないんじゃないかなぁ、と思う(ノД`)・゜<バカヤロー! この部分だけを聞くと『お前が何不自由なく生活できるのは誰のお陰だと思ってるのじゃ! この親不孝者めっ!』と、大抵の人は思うでしょう。 ちょっとお待ちを。 確かに主人公の行いはひどいとは思いますが、主人公の行動にはそれなりの理由がありました。 主人公の懺悔を通じて、この素敵な家族の闇の部分が徐々に見えてきます。 そのたびに、この家族について色々と考えさせられます。それがこの作品の面白さなんだと感じます。 主人公がKくんに誘われるがまま、とんでもない愚行にハマったのは何故だろうか? 主人公、両親からあまり愛されていないのでは?疑惑。 父とRが家族を裏切っていた事を知った主人公は、結局どうすれば良かったのか? 等々。考えたらキリがありません笑 いずれにせよ、闇の深いこの家族は壊れるべくして壊れたのかもしれませんね…… 登場人物で簡単に紹介しましたが、ここで母について少しだけ掘り下げます。 純粋な母親の存在が、家族の闇をより黒くしているように感じます。 純粋だからこそ、愛する夫と息子以上に可愛がってきたRさんの裏切りにショックを受け、声を失い、廃人に変わり果てた。 対して主人公は母が壊れる事を知りながらも、壊した。そして、罪を償うため、高校を辞め、生涯母の面倒を見る事を決意した。 「主人公の大馬鹿者! 母の苦労も知らないで! 母親が可哀想じゃないか!」 と、ほとんどの人は思うのだろうか……? 主人公が大馬鹿者なのは同意です。しかし、僕はどうしてもこの母親に同情できませんでした……(; ̄Д ̄)ノ<スミマセン 母をどう思うかは、読み手次第じゃないでしょうか。 ついでに父とRさんについても触れましょう。 この二人はやっぱり黒です。 それでも、父については若い頃はかなり苦労したんだろうなぁ、と思うところはあります。……そうは言っても、相当なクソ野郎です(ー∀ー; Rさんも、散々母にお世話になっただろうに。ひどいです(ー∀ー; この二人、最後は主人公と母の前から姿を消し、その後の描写がありません。ここは意見が分かれそうな気がしますね。 とにかく、父と母とRさんは、本当にいいキャラしてるなと思います笑 ▶︎印象に残ったシーン タイトルにもなっている「六月の雫」の正体は、愛する人を思いながら作った母の歌です。主人公はこの歌を何度も耳にしています。 ラストシーンでこの歌が主人公の耳に入る描写があります。 声を失った母にしか歌えないはずの「六月の雫」は、どこから聞こえるのでしょうか? 心と声を失くした母の鼻歌か、それとも自分の思い出の中の幻聴か? この部分って、抽象的に描写されていて、「六月の雫」の儚さが一層際立ってて、心に刺さりました。悲しい。虚しいよ……T_T この歌は主人公の中で色褪せることのない、唯一の家族の思い出なのかなぁ、と物思いにふけてしまいました。 +++++++ | まとめ | +++++++ 主人公は大馬鹿者とか、この母はなんだかなぁとか、父はクソ野郎とか、Rさんは恩知らずとか……僕はこの作品のキャラたちに散々な事を言いましたが、個人的にはすごくいい作品だと思いましたし、楽しめました。 Rurei先生の文章は、時間が淡々と過ぎるようで、スッと頭に入りやすいです。そして、哀愁表現が美しいんですよ。僕には書けないです泣 あと、話が妙にリアルです。特に、主人公が愚行にハマっていく過程はリアルの極み。パチスロの沼にハマっていく人も大体こんな感じです。(コラ!)  なんにせよ、愚行は周囲や自分を不幸にするだけです。 皆さんは愚行にハマらないでくださいね(^^; この感想文を読んで「六月の雫」に興味を持たれましたら、ぜひ冒頭のURLからご覧ください。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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