りかりーさん、ありがとうございます♪ バタバタは落ち着きましたか? いつもお話楽しみにしています 体調には気をつけてくださいね
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@りかりー:『片割れの恋』 妹は明るく人付き合いが上手で笑顔が可愛い。 引っ込み思案で人見知りのわたしは同じ顔をしていても可愛いと言われたこともない。 わたしと妹は、同じ遺伝子を持つ双子。 それなのに性格は全く違う。 「かおりちゃん可愛いよなぁ。彼氏いるのかなぁ?」 「今はいないって言ってたっけ。俺、立候補しよっかな」 「おい、抜け駆けすんなよな」 クラスの男子が窓辺に集まって妹を見下ろしてる。 ほら、妹はみんなの視線に気づいてこっちに向かって笑って手を振ってる。 それを見てたわたしとも目が合って慌てて目を逸らす。 「おまえの妹、すげー人気だな。ファンクラブまであるんだって?」 隣に立って窓枠に手をつき外を見下ろしたのは、成績優秀、運動神経抜群、学校一のイケメンで───わたしの天敵だ。 天敵である樹は、幼い頃からの腐れ縁で、事あるごとにわたしをからかい、それを生き甲斐としている。 「おーお、ありゃ告白タイムかな?」 窓の外を眺めながら樹はそう呟いた。 「告白されてもかおりは断るよ。好きな人いるもん」 「へえ、好きな人いるんだ。ふーん」 妹の好きな人はわたしの目の前にいるわたしの天敵の樹だ。 樹はちらっと周りを見ると、口の端を上げわたしの耳に息を吹き掛けた。 バッと耳を押さえる。 「よしまるの本当の姿をみんなが知ったら驚くよな。髪をほどいてメガネをはずせば妹よりも可愛いってこと」 「!!」 「バラそう、かなー」 熱くなった耳をペロリとなぶられた。 髪を一房掬い取られてくるくるする。 これだから樹は。 「わたしはひとりがいいの。もうあんな思いはたくさんだもの」 「……それは、見る目のない男を選んだからだろ」 そう。 わたしを好きだって言ってくれた人は、妹に心変わりをした。過去の事だけど、わたしは深く傷ついた。 あの時、樹がそばにいて泣いてるわたしをずっと抱き締めて慰めてくれた。 それは、樹に感謝はするけれど…… なぜにフラれた直後から距離感が近いのか。 「おまえ、まだ……あいつのこと……」 「え?」 「……なんでもない」 髪を弄ったまま樹はわたしから目を反らした。 ひとりでいるのが当たり前になってたある日。 突然、わたしの前に高級車が停まり、後部座席からひとりの男性が降りてきた。 「俺と付き合ってくれないか?」 わたしは頭の中が真っ白になった─
よしまる
りかりーさん、いつもありがとうございます
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@りかりー:つづき 「体……弱いくせに、走るなよ」 月に一度は熱を出しては寝込んでた。 忙しい両親の代わりに俺が面倒を見ていた。 いつからだろう? クラスメートにいじめられても俺がそばについていてやらなくてもよくなったのは。 遠い過去を思ってると、 ぐらりとよろけ、アイツが膝をついた。 その顔色は真っ青だ。 「アイツ……」 屋上から階段を駆け降りて校庭へ走ると、その人垣の中から奪うと抱き上げた。 「鷹先輩!?」 「えっ!うそっ!」 呼吸が浅く速い。白い顔が苦しげに歪む。 貧血か…… 医務室に運び込むとベッドに寝かせジャージの前を寛げた。 瞬間、首からするりと掛けられてた小さな袋が落ちた。 幼い頃から下げていた御守りの中身がはみ出て見えた。 ……オモチャの指輪? その時、医務室のドアが開いた。 立ってたのはコイツのいとこ。俺の天敵だ。 僕が看るから帰っていいと、追い出そうとして俺の手にある御守りに気づいた。 「それは……」 奪うように取られた御守り。 その中身のことを知っていたのか。 天敵。 俺から平気でコイツを奪ってく。 「鷹、おまえによしまるは渡さないからな!」 それは堂々とした宣戦布告だった─── 後編へ(次回、10月後半のミニ話へ)
よしまる
りかりーさん、こんばんは いつもありがとうございます 続きがとっても気になります! 後半も待ってます よろしくお願いします🥺
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@りかりー:3枚目 彼女と一也と見合せる? 聞いた瞬間に頭が真っ白になった。 今、彼女がはにかみながらも楽しそうに話しているのが一也だ。 紹介? そんなことをしたら付き合うに決まってる。 俺の紹介なら、奏の仲間ならば断れるわけがない。それくらいわかる。 「なあ、帯刀、どう思う?」 奏が笑いながらも本気顔で問う。 「……いいんじゃないか?」 「ふーん、わかった。ならこっちで段取りはする」 戸惑う俺に、奏はやけにつまらなそうに呟いた。 その一週間後。 彼女は眉を下げて心細そうに俺を見上げた。 一也と初めての公認デートだ。 彼女の頭を撫でてやりながら声を掛けた。 「泊まるなら、連絡くらい入れろよ」 「と、泊まりだなんて、そんな」 彼女は慌てて首と両手を振り、迎えに来た一也の車に乗ると出掛けて行った。 日が暮れる頃になって、奏が酒を片手にふらりと訪ねて来た。 「あの子、今頃は一也と食事かな?」 「さあな」 「海に行くと言ってたからな。眺めのいいホテルを予約してやった」 「……は?」 「当然だろう?付き合ってるなら」 なんてこった!泊まりだと!? 酔いなんて吹っ飛んだ。 立ち上がるとテーブルにあった車のKeyを掴んだ。 「間に合えばいいけどな。ほらよ」 奏がスマホを投げて寄越した。 わけもわからず、いても立ってもいられない。 車を飛ばし海へと向かう。スマホ画面にはホテルの予約が記されていた。 気づいたんだ。 失えないと。おまえを誰にもとられたくない。誰にも触れられたくないと! 「よしまるっ!!」 正面に車をなげて駆け込み、最上階で食事をしていた彼女の腕を掴んで連れ出した。 「帯刀、さん?」 無我夢中で抱き締めた。 「やっと気づいたんだ。俺はおまえを最初から。俺を助けてくれたあの日から」 ───好きだったんだ 【完】 「一也、おまえをダシにして悪かったな」 こうなることは初めからわかってたと、奏は酒杯を傾けながらひとり笑った。
よしまる
奏さん…ありがとうです😊 りかりーさん、ありがとうございました
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いつも素敵なお話をありがとうございます。 続きがとても気になります😊
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えっ…皆さん入院⁉︎ りかりーさんも⁉︎ 逆に感染していなくても入院した方の代わりにお仕事したりして大変ですよね
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@りかりー:りかりーと申します。 いつもわたしの作品に応援ありがとうございます。 お礼に、『若恋裏話、日記etc』1?2?に連載中のミニ話の続きを送ります。 よかったら、詠んでみてね。 続き そんな他愛のない話をしながら、狐月はわたしの膝の上に頭を乗せて眠りに落ちる。 宝珠がわたしの中にあるから、そばにいると安心して眠れるらしい。 わたしも狐月に拾ってくれた恩を少しでも返したくて、眠りにつくまで宝珠のある左手で頭を撫でる。 狐月の頭の上の狐耳は柔らかくて、触れていると気持ちがいい。 ふさふさ揺れるたくさんの尻尾も本当は触りたいけれど、さすがにダメだろうな。 「触れてもいいぞ。少しだけならな」 なんで触りたいと思ったのがバレてるんだろう? でも、お言葉に甘えて触れてみる。 「なんだろうな、ただそばにいる、それだけで眠れるなんて。ああ、宝珠からの香りがするからか。桃の花の香りだ」 うとうとし始めた狐月は疲れているようだった。 七尾から聞いた話しによると、政務が大変らしい。 風邪をひいたらいけないので、わたしはたくさんの衣を引き寄せて掛ける。 その手を狐月につかまれた。 「俺の宝珠……」 琥珀色の宝石。狐月の瞳と同じ色。 できるなら宝珠を返してあげたい。 わたしから妖力を取り出せたらいいのに。 わたしは眠る狐月にそっと囁いた。 「ごめんね狐月。いつかきっと宝珠を返せると思うから待ってて。……おやすみなさい」
よしまる
りかりーさん、ありがとうございます りかりーさんの仕事がらコロナへの対応等大変だと思いますが、お疲れになっていませんか? くれぐれも気をつけて下さいね
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@りかりー:りかりーと申します。 こんばんは! 毎日たくさんのお星さまありがとうございます(*´ω`*) お礼にミニ話をプレゼントφ(゜゜)ノ゜ いつも本当に感謝です! 黒豹の恋(後編) 転入してからしばらくして。 廊下を歩いてたら、「ちょっと待て。おまえ、強い気配がしてる」と、有王先輩に顔を覗き込まれた。 「この気配、あやかしに取り憑かれているのか。かなり、ヤバそうだな。すぐに祓わないと……これを見ろ」 有無を言わせず先輩の出した紙切れを見せられた瞬間、体に力が入らなくなって意識が途切れた。 ※※※ 気がつくと、大きな屋敷の庭に座らされ、有王先輩が護摩を焚き呪を唱えていた。 「ここは……?」 「俺の家だ。いいか、見てろ。おまえに憑いているモノを引き摺り出す」 そう言って、唱えた呪の炎の中から現れたのは、漆黒のしなやかな体を持つ獣だった。 護摩焚きの前に、悶え苦しみ転がり出る。 その姿が、転がりながら黒豹へ、お兄ちゃんの姿へと変わってく。 「見ろ、正体はあやかしだ」 有王先輩に現実を突きつけられ、驚きでお兄ちゃんが伸ばした手をつかむことができなかった。 そして、我に返った時には、黒い獣もお兄ちゃんの姿も消えて、ひとりぼっちに戻っていた。 「これでいい。あやかしは消えた」 「そんな……」 ※※※ あれから、夢に見るのは、会いたくてたまらない人のこと。 お兄ちゃんだった人は、あのあやかしは、本当に消えてしまったの? 月のない夜、ぼんやりと座り込んでいたら、窓辺に一瞬だけ黒い獣の姿が見えた。 「待って!」 あやかしでもかまわない。お兄ちゃんでなくてもいい。 わたしの願いを叶えてくれたのは、あなただから。 「置いて行かないで!わたしも連れてって!」 背を向けた黒豹にしがみついた。 「……きっと後悔する、それでも?」 絶対に後悔しない。 「一緒に生きていきたいのは、あなただとわかったから」 「……よしまる、我についてくるならもう逃がしてやれない。それでも?」 「それでもいい。どこへでも連れてって」 黒い獣から人の姿になってわたしを抱き締めた。 「ああ、どこまでも一緒に行こう」 完
よしまる
りかりーさん、いつもお話をありがとうございます 雪の被害は大丈夫ですか? お体に気をつけて下さい
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@りかりー:2枚目です。 どうでしょうか? 感謝を込めて送ります(*´∇`*) 『龍神さまの溺愛』続き ※※※ そっと目を開けると、柔らかくて温かい光が全身を包んでいた。 気づくと背中の痛みもいつの間にか消えていた。 「龍神、さま……?」 九尾の狐も鬼の頭領、そして孝太も。 みんながわたしの顔を覗き込んでいた。 「遅いぞ。やっと来たか」 龍神さまの元に戻ってこれた。 みんなのいるところへと帰ってこれた。 「ただいま、……龍神さま。みんな」 泣きたいほど嬉しくて龍神さま、みんなを抱き締めた。 わたしの命を繋いでくれたみんなの思いが体の中で温かく光ってる。 「……龍神さま、少し苦しいです。そんなに強く抱き締めなくても」 わたしの龍神さまは力が強い。 「我慢しろ、……もう少しだけだ」 掠れた声。涙声だ。 本当はわかってる。 龍神さまもみんなも無茶なほどの力を使ってわたしを助けてくれたってこと。 それだけ龍神さまはわたしを失いたくないと思ってくれたってこと。 不器用な龍神さまが誰よりも愛しすぎる。 「さてと、俺は彼女に会いに行ってこようかな。龍を見てたらなんだか悔しくなった」 「え?」 「俺も嫁さんを探しに行こ。どこにいるのかな、俺のマイハニーは。龍、じゃあな」 「えっ?えっ?」 「おっと、孝太も来い。俺がいい女を紹介してやるから」 「えっ?えっ?えっ?」 突然、孝太を引きずるようにしてあやかしたちの姿は消えて行った。 残されたのはわたしたちふたり。 龍神さまはゆっくりと顔をあげてわたしを見つめた。 琥珀の目がとてもきれい。 「……おまえを誰にも渡したくない、よしまるが、好きだ」 その瞳にわたしが映ってる。 「死にかけた俺を救ってくれたあの時からずっと。……もう、待てない」 触れるくちびる。 甘く約束の時を結ぶ。 「今夜、俺の花嫁になってくれるか?」 真っ直ぐに伝えられた心に、わたしは微笑んで頷いた。 「大好きです、龍神さま」 【完】
よしまる
りかりーさん、おはようございます 毎回素敵なお話をありがとうございます コロナ禍でお仕事も大変だと思いますが、お体に気をつけて下さい
@りかりー:よしまるさん、いつも応援ありがとうございます!とっても嬉しいです。 お礼にミニ話をプレゼント(*´ω`*) 『龍神さまの溺愛』 あやかしや神様が視えるわたしが拾ってきたのは、人間の開発によって住み処となる川を埋められ弱っていた龍神さまでした。 おばあちゃん家の裏庭に続く、湧き水の出る小さな名もない川にぐったりした龍神さまを放したのが十年前。 そして、現在は─── 「俺の嫁にそれ以上近づくな。いくら幼馴染みと言えど、……おい、わざとくっつくなっ!」 龍神さまは大変ヤキモチ妬きである。 幼馴染みの「視える」孝太と一緒にいるだけで、大空を飛んできては離れろと風に身を泳がせ威嚇している。 孝太とはただの幼馴染みなのに。 龍神さまはわたしが車の事故に遭った時に、大切な龍珠を手離してまで命を助けてくれた。 その龍珠はなんとわたしの体の中にある。 そんなこんなで、龍神さまはわたしから目が離せないらしい。 お昼、学校の中庭で空を見上げてたら、龍神さまが人の姿をして現れた。 白衣を着て見目麗しすぎる教師に。……ほう。 「さっき階段で派手にコケてたな。その傷か」 擦りむいたその手を龍神さまがつかむと口元に持ってく。 傷を直してくれてただけなのに顔が熱くなる。 だけど、次の瞬間に、 「妖狐の……九尾の狐の気配がする」 振り向くと同時に拳を突き合わせたのは、白い九本の尾を持つ妖狐の化けた先生だった。 「残念。龍神を倒せば、こいつは俺のものになるのにな」 「誰がやるか。神たる俺の花嫁だぞ」 そこにもうひとり。 「俺を忘れてもらったら困るな。おまえは俺を選ぶだろ?」 あやかしの鬼、それも次期鬼の頭領になる鬼。 後ろからぐいっと顎を引かれて顔を近づけられた。 キスされそうになって、龍神さまは慌ててわたしを懐に閉じ込める。 「触るな」 美形すぎるあやかしふたりを琥珀の瞳で睨む。 龍神さまはわからないのだ。 龍珠がわたしの体の中にあるからそれが愛情だと勘違いしているだけ。 龍神さまを失いたくないわたしは龍珠を返すと言えないまま…… 「いつになったらおまえは俺に心をくれる?いつまで待てばいい?」 龍神さまの切ない声音にわたしもせつなくなる。 と、龍神さまの顔を見上げた瞬間。 ドスッ、 背中に衝撃を受け焼けつく痛みが襲った。 「よしまるっ!」 後編へ続く
よしまる
りかりーさん、こんにちは いつもお話ありがとうございます 続きがとっても気になります
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@りかりー:いつも応援ありがとう! お礼にミニ話を送ります(*´∀`) 後編 「今夜はこいつを家には帰さない。いいよな?センセ」 芝くんはお兄ちゃんにわたしを連れてくと宣言した。 わたしが好きなのは……でも言えない。 血は繋がってないけど、兄と妹。知られればお兄ちゃんに迷惑が掛かる。 芝くんに強引に連れていかれた先は大きな屋敷だった。 「ここは……?」 「俺の家」 「あの、わたし、やっぱり帰らなきゃ」 キスされたことなら事故だから。 お兄ちゃんにすべて話すと決めて帰ろうとした時、後ろから伸びた芝くんの腕に戸を押さえられた。 「悪いけど、帰すわけにはいかない」 ぐいっ、腕を引かれて部屋の中央に引き摺られた。 そこには床に4つの小刀が刺さっていて、その中に入れられると出られなくなった。 まるで透明な硝子に閉じ込められたみたいに。 「結界を張った。ここにヤツを誘き寄せる」 「芝くん、何を言ってるの?……お願いここから出して」 透明な硝子は叩いてもびくともしない。 芝くんは胸元から出した札を辺りに貼り付けた。 「妖しに魅入られた者を救い、妖しを滅するのが安倍に生まれた者の運命。おまえは妖しに憑かれている。このままだとその身を喰われる。俺が止める」 「……妖し?」 「銀の狼だ。遥か昔から存在する妖し怪の類いだ」 わたしがその妖しに取り憑かれてる? 狼が現れるのはわたしが取り憑かれてるから? 「おまえに浸いてる妖しは強い。仕留めるならここしかない。だから」 芝くんの話しはわかった。 でも……妖し、わたしの前に現れた銀の狼は何もしていない。わたしを慰めるようにただそばにいてくれただけ。 そんな狼を殺めるなんて。 そう言うと、芝くんはすっと冷たい表情になった。 「おまえは何もわかってない。おまえに近づいた者がどうなったのか」 ど、うなった、の? 喉が鳴った。 「階段から落ちたり、川に落ちて溺れた。死ぬことはなかったが。ただ、これ以上野放しすれば死人が出る。それを止める」 芝くんは閉じ込められたわたしの前に立った。 「あの妖しを始末すれば、」 その時突然、雷が空を割って一瞬で辺りが真っ白になった。 雷鳴が轟いて視界が開けた時にはわたしの目の前には背を向けた銀の狼がいた。 グァルルル 2枚目へ続く
よしまる
りかりーさん、いつもありがとうございます 続きを楽しみにしています
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@りかりー:後編の2枚目です! 届くでしょうか? 『オタクの恋』後編の2枚目 うそ…… 転がっていた棒を掴むと、清四郎はわたしを押さえつけてた佐藤くんを振り飛ばした。 後のふたりが飛び掛かり清四郎の背中を羽交い締めにする。 どうして……ここに? もしかして助けに来てくれたの? 3人を相手になんて無理に決まってるのに。 逃げて!でないと清四郎がやられちゃうっ!! 「ゲーオタをナメるなよ!」 叫んで背中のふたりを振り払う。 横から殴られて清四郎のくちびるが切れて朱が滲んだ。 そのくちびるを拭うと、相手に拳を鳩尾に叩き込み廻し蹴りで地に沈めた。 ハアハア 息を荒くして清四郎は滴る汗のまま、わたしの前にしゃがみこむと猿轡をほどいてくれた。 涙目で見上げるわたしを清四郎の腕がそっと包みこむ。 「……俺から、離れるな」 「せい、しろう……?」 混乱してどうしていいのかわからなくなる。 清四郎の熱い吐息が耳に触れて小さく震えた。 「俺にはよしまるだけいればいい。見た目が変わったからって寄ってくるような女ならいらない。……いらないんだ」 懇願するような声。 わたしを抱き締める腕に力がこもった。 「……だって、だって、清四郎には好きなひとがいるって」 わたし聞いて知ってるよ。だけど─── 「……ホント、に?」 涙が溢れて止まらない。 清四郎の言葉が胸の奥に染みて想いが競り上がってくる。 「ああ。おまえが好きだ」 柔らかい眼差しが降ってきて、浮かんだ涙を清四郎の指先がそっと拭った。 「………わたし、好き、って、……言っていいの?」 ずっと一緒にいるものだと思ってた。 だけど、清四郎には好きな人がいるって聞いて、……わたしだけが淡い想いを抱えてたんだってショックだった。 だけど、清四郎の恋を応援してあげたくて…… わたし、好きって言っていいの? 清四郎のそばにいていいの? 「おまえじゃなきゃダメなんだ。今までもこれからも俺の隣にいるのはよしまる、おまえだけだ」 低くだけど甘さを含む声。 清四郎の指がわたしのくちびるに触れた。 「わたしも、……好き。清四郎が、好き」 瞬間に、清四郎のくちびるが重なった。 息ができないほどの想いが流れ込んでくる。 「やっと、……つかまえた」 わたしの初めては全部、目の前の清四郎に━━━ 完
よしまる
届きましたよぉ〜👌 オタクをなめてはいけません! カッコいいです 続きが読めてスッキリしました いつもありがとうございます
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ありがとうございます😊 早速読ませていただきます✌️ でも…続きが気になって眠れなくなってしまいそうです😆 いつもありがとうございます 世の中、コロナ!自粛!で鬱々としていたのでりかりーさんのお話で心に栄養をいただきました これからも作品を楽しみにしています
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ありがとうございます❣️ わぁ〜とっても楽しみです 後編も必ず探して読ませていただきます
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@りかりー:よしまるさん、いつも応援ありがとう!お礼にミニ話をプレゼント(*´ω`*) 『オタク大変身!?』 目の前のオタクの厚ぼったいメガネを取ってコンタクトにした。 鬱陶しい髪はわたしが思いきって切った。 よれよれのYシャツはアイロンを当てて用意した清潔なものと取り替えた。 「よし!とりあえずはこんなもんかな?」 ゲーオタの名前は清四郎。 生まれた時からの腐れ縁で、お互いの初恋の子まで知ってる隣の家の幼なじみ。 「清四郎、ちゃんとおしゃれしたらイケメンだよね」 「俺は別にモテなくていい……」 清四郎は鏡を見て興味なさそうに呟いた。 それからすぐにみんなの清四郎への反応が変わった。そしてわたしへのみんなの目も。 影口なんて慣れてる。 だけどエスカレートして剃刀の刃が入っていた手紙や足を引っ掛けられたりするのは辛かった。 「よしまる、その指ケガしたのか?」 「ちょっと包丁で切っちゃって」 指を隠しながら答えると清四郎は眉を寄せた。 勘の鋭い清四郎には知られたくない。それよりも聞いたの。清四郎の好きな人ってどんな女性? 「それもあいつらにやられたのか……」 清四郎の相手のことを考えてたら清四郎の呟きには気づかなかった。 「あのね、清四郎、……その、清四郎の好きな女性って、わたしの知ってる女性……?」 「……まあ、そうだな」 「教えてって言ったら教えてくれる?」 清四郎からの返事はなかった。 これって教えてくれないってことだよね……? 清四郎はふっと口の端を上げたら先に玄関にに向かっていった。 数日後。 わたしの机の中に隣のクラスの佐藤くんからの手紙で、話があるからと呼び出された。 放課後、裏庭に行くと飲み物を手にした佐藤くんがいて、隣に座るとわたしに片方差し出した。 「ごめん、呼び出したりして。実は君のこと前から気になってて僕と付き合ってもらえないかと思って」 それは突然の告白だった。 びっくりして慌ててコーヒーを口にして誤魔化した。 あ、れ? 急に頭がぼわーっとして眠気が…… 力が入らなくなって紙コップが足元に落ちた。 「悪く思わないでね。これも彼女のためだからさ」 寄りかかった頬を撫でられて声が出ない…… 暗くなってく目に最後に見えたのは、わたしの唇に触れる指だった。 ……清四郎、助けて それきり意識がなくなった───
よしまる
りかりーさん、今回も素敵なお話をありがとうございます 続きがとっても気になります😍
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@りかりー:よしまるさん、いつも応援ありがとうございます(*´ω`*) お礼にミニ話をプレゼント! 【若恋】完敗 さらさらと、桜の花びらとりおさんの少し癖のある黒髪が風に舞っている。 「榊さん、見て!桜、とてもきれい!」 桜を見上げるその柔らかい眼差し。 桜舞う風の向こうには若がいて、その隣には若の見合いの相手がいる。 組長が乗り気の縁談相手だ。 その見合い相手より、若は桜を見上げるりおさんの姿を目で追っていた。 『命令だ、榊。奏からその女を引き離せ。いくら奏の命の恩人だと言っても所詮住む世界が違う』 組長は気づいていた。 若に芽生えた小さな想いに。 それは組の未来を考えればいずれ邪魔になることだと。そして自分の心の揺らぎにも。 だから自分に振ったのだ。 けれど、若の想いを踏みにじることだけはできなかった。 『そうか、わかった。この話はもういい』 その後、若が見合いを断り破談になった時、組長が深いため息を吐いた。 それからしばらくして。 りおさんを迎えに行ったファミレスで、口をつけただけの飲み物がそのままになっていたるのをみつけた。 何かがおかしい。 テーブルの上を見てひどい胸騒ぎを覚え、 「まさ、か」 店の裏口から飛び出した。 その横をタイヤを鳴らして急発進してく車が通りすぎ様、りおさんの姿が! その隣には見覚えのある男が座っていた。 「……りおさんっ!」 脇を走り抜けてく車を愛車に飛び乗ると追いかけた。 車は見失ったが、行き先は予想できた。 大神本家の門をくぐって車寄せに停め、 「榊さま、お待ち下さいっ!」 押し止めようとする男たちを無視して、奥座敷に座る涼しい表情をした組長の前に立った。 「りおさんをどこに連れて行ったんですか」 「……なんのことだ?」 「とぼけても無駄です。あなたが関わっていることはわかってます」 組長の顔が歪んだ。 「なら、好きなように探せ」 広い屋敷の中を探し回る。 一番奥の薄暗くなった部屋に入ると、誰かがゆらりと立ち上がった。怒気と殺気を隠しもなく振り返る。 「……若…?」 その腕に抱かれていたのはりおさんだった。 気を失っているりおさんに若がそっと頬を寄せた。 「親父、……二度目はないからな」 去っていくその姿を、息をするのも忘れて立ち尽くし見ていた。 「………完敗です。若」 【完】
よしまる
りかりーさん、いつもミニ話のプレゼントありがとうございます 待ってましたよぉ〜😊 でも、無理しないでりかりーさんのペースで更新して下さい
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@りかりー:よしまるさん、こんばんは! 毎日、たくさんの応援ありがとうございます!お礼にミニ話を一番にプレゼント(*´ω`*) 『オレ様のシモベ』ふたりきりの夜 夕方から降りだした雨が強くなって、庭の木が風で揺れる音で怖くて眠れない。 今夜はお父さんもお母さんも親戚の法事に出掛けてていないのに…… 枕を抱き締めて震えてると、空が光り雷鳴が轟いて、一瞬にして辺りが真っ暗になった。 こ、わいよ、零ちゃん…… 声が、出ない。動け、ない。 手も足も震えて、枕と一緒に握ってたスマホを落としてしまった。 暗いと息ができなくなる。 幼い頃、どもって口のきけないわたしは学校でロッカーに閉じ込められて出してもらえなかった。その恐怖は今も残ってる。 体を丸めて耳を塞ぎながら、ぎゅっと眼を瞑った。 「……ふみ」 窓から強い風が吹いて、濡れた何か温かいものがわたしを包み込んだ。 少し低くて普段は冷たい声。濡れた体からはよく知ってる香りがした。 震えて声にならないわたしに、スマホの薄明かりの中、零ちゃんの濡れた前髪とわたしの額がゴチンとくっついた。 「ゆっくり、息をしろ」 息ができなかったわたしが息をすると零ちゃんがため息を吐いた。 「さっき、夜食を作りに来いって言っただろが。まったく。オレ様を無視しやがって」 「違、うの。作ったの。……でも、持っていけな、くて」 机の上には零ちゃんの好きなたまごサンドとサラダとココア。 「だと思ったから来てやった」 零ちゃんからすっと明かりが漏れて。机の上にキャンドルが灯った。 零ちゃんが隣に座ると夜食に作ったたまごサンドを摘まんで口にいれてく。 「れ、零ちゃん……濡れてるから、タ、タオル」 零ちゃんの髪をタオルで拭こうとして、 ピカッ 空が真っ白になった。 「きゃあっ!」 気がつくと震える手で零ちゃんのシャツをつかんでた。 ドキンと鼓動が跳ねた。 キャンドルの灯りが揺らめく中、零ちゃんが涙目のわたしを見下ろしてる。 「ふみ……」 零ちゃんの胸もドクンと音がした。 零ちゃんのキレイな顔が近づいてきて、 (1000文字じゃ足りなくて……2ページ目も送ります!)
よしまる
りかりーさん、いつもミニ話をありがとうございます 零くん…ツンな優しさ素敵です
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@りかりー:よしまるさん、おはようございます。 いつも応援ありがとうございます! 今回は長くなって削れませんでしたので特別バージョンで!(*´∀`)♪ 蒼銀の恋~銀~ 気がついた時には真っ白なシーツの上に横たわり、……誰かが手当てしてくれたのか、腕や足には分厚い包帯が巻かれていた。 その包帯からは僅かに花の香りがした。 「あ、気がついたみたいね。よかった!」 フラフラする頭を振って起き上がった俺に近づいてきたのは、黒髪をひとつに結った薄緑色のエプロンをした二十歳くそらいの女だった。 たくさんの花が咲いている店先から歩いてくる。 グァルルル。 近づくな。 それ以上近づけば、その手を噛むぞ。 唸り声をあげると、 手荒れだらけの手が途中で止まり、威嚇する俺に、「大丈夫よ。何もしないから」と優しく微笑んだ。 どうやら彼女が俺を手当てしてくれた本人らしい。彼女のエプロンからは花の香りがした。 手当てしてくれた手足を見ると、薬を塗り丁寧に包帯を巻いてある。彼女は悪い人間じゃないらしい。 警戒を解いて牙を収めると、彼女は「喉が渇いたよね」と、すぐそばに平たい器に水を注ぎ置いてくれた。 「飲んでね」と、柔らかく笑うと店へと戻って行った。 俺がいた場所は花屋の奥の居間だった。 傷が癒えるまでのしばらくの間、そこから、彼女が花の水切りをしているのや、接客しているのを見ていた。 火傷を負い行き倒れていた狼の俺を、見るに見かねて連れ帰ってくれたらしい。 が。 俺はどうなってもよかった。 あの古い洋館と共に消えたはずの身だ。 いまさら生きようが死のうがどうだっていい。野垂れ死にしてもかまわない…… 与えられた水に口をつけることもなく、そのまま果ててもいいと思った時、 ガッシャーン いきなり、何かが砕ける音がして顔を上げると彼女が誰かに突き飛ばされたのが見えた。 「や、やめてくださいっ!花を踏まないで!!」 2ページ目へ
よしまる
りかりーさん、いつも素敵なお話をありがとうございます 今回も続きがとっても気になるお話です 今、新型コロナ、インフルエンザ、花粉症など色々と心配ですが 体調に気を付けて下さいね これからもお話、楽しみにしています
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@りかりー:よしまるさん、こんにちは。 いつも応援ありがとうございます。 寒くなったので体調管理して風邪をひかないように…… 『若恋』真剣勝負 りおさんが昨夜から熱を出して、部屋で休んでいる。 若から留守を預かって、さっき様子を見に来た時には、顔が赤く軽く咳き込む程度だった。 「りおさん、具合はどうですか?」 ドアをノックして入って足が止まった。 ベッドの上にいたはずのりおさんの姿がない。 「……りお、さん?」 持ってきた飲み物と粥やフルーツをテーブルに置いて、辺りを見回した。 「ふにゃぁーい」 返事をした方を見ると、顔を真っ赤にしたりおさんがふらふらと歩いてた。 「危ないっ!」 よろけてテーブルにぶつかりそうになった体を支えて腕に抱き上げた。 その体は燃えてしまいそうなほど熱かった。 「すごい熱です。ちゃんと寝てないと……」 ベッドへと寝かせて汗で額に張り付いてた髪を払うと、その手をりおさんの手に包まれた。 「……榊さんの手、冷たくて、気持ちいい」 「りおさんが熱いんです……」 りおさんの熱で潤んだ瞳と目が合った。 「……冷たいものでも飲みますか?」 心臓が壊れそうにドクドク鳴る。 弱って細く吐いた吐息が触れて抱き締めたくなる。 「りおさん……」 りおさんを大切にしてる若の姿が頭に浮かぶ。 触れたらいけないとわかってるのに。 離さなければいけないとわかってるのに。 触れていたい……もっと…… りおさんの頬をそっと撫でた。 「……? 榊、さん?」 「どうぞ、わたしの手でよいならいくらでも……」 ほんの数分触れて、りおさんがくたりと眠りに落ちてく。 その寝顔を眺め上掛けをかけ直し立ち上がった。 「くちびるを奪うのかと思ったが」 ばっと振り向くと、若が壁に背をもたれさせ腕を組んで立っていた。 「……若」 「薬を飲ませてやらないと。口移しでかまわないぞ、榊」 熱が高すぎる。 すぐにでも薬を飲ませたい、けれど。 「……できません」 「なら、俺がやる」 若は薬を口に含み白湯をあおると、りおさんのくちびるを割ると流し込んだ。 ゆっくりと振り返る若の鋭い眼差しではっきりと知った。 いつかは若と決着をつけなければならないことに。それが今だということも。 「若、今夜、真剣勝負をお願いします」 【完】
よしまる
りかりーさん、こんにちは 寒くなってきましたね ミニ話ありがとうございます 奏さん、榊さん 切ないです
@りかりー:よしまるさん、風邪をひいてませんか?体調悪くしてないですか? わたしは風邪ひいてしばらく寝てました! その間も応援本当にありがとう! お礼にミニ話をプレゼント(*´∀`) 『鬼呼びの花嫁』新たな鬼呼び(続編) 「俺を呼んだな」 目の前には黒髪の整った顔の担任の葵先生。 その瞳だけが青く光ってる。 壁に弾き飛ばされた鬼を見下ろすと、 「消えろ」 その一言で、赤い目をした鬼は突き出した手から放たれた青い炎に巻かれて消えた。 後ろにいたわたしを振り返る。 「鬼を呼ぶ花嫁、か」 「え?……葵先生?」 いきなり横抱きにされて抵抗する間もなく、校舎から出て外に停められていた車へと乗せられた。 車は命じられたまま走り出す。 車は大きな門をくぐり、純和風のお屋敷へと着いた。 「葵さま、お帰りなさいませ」 「部屋に行く。俺が呼ぶまで誰も入れるな」 頭を下げた初老の男の人に背を向けてわたしを抱き抱えたまま歩いてく。 長い廊下を進んで障子を開け降ろされると、後ろから制服を切られ肩を晒された。 さっき噛みつかれた肩に激痛が走る。 「少し我慢しろ」 すぐ後ろに顔が。噛みつかれた傷口から毒を吸出した。 やがて痛みがなくなって体に力が入らなくなってく。 聞きたいことがたくさんあったのに瞼は重くなってく。 「おまえが俺を選ぶなら、もう遠慮はしない」 深く妖しくくちづけられて、その後は何もわからなくなった─── 気がついたら周りは一変していた。 部屋に飾るように用意されていたのは真っ白な婚礼衣装。 これ……誰が着るの?もしかして…… 触れて眺めてたら、紋付き袴姿の葵先生が現れた。 黒髪に知的なメガネ。その奥の瞳は……いつもの漆黒。青くない…… 昨日の放課後の出来事はわたしが見た夢?……だったのかもしれない。 鬼が現れただなんてそんな。 「嘘じゃない。おまえは鬼に喰われるか鬼の花嫁になるかの運命だった。そしておまえは俺の花嫁になることが決まった。それはおまえの婚礼衣装だ」 真っ白な花嫁衣装。 葵先生とわたしが……結婚? 「今宵、よしまる、おまえは俺のものになるんだ」 口の端を上げて葵先生は笑った─── つづく
よしまる
りかりーさん、ミニ話ありがとうございます😊 体調は良くなりましたか? 無理はしないでくださいね いつも応援しています✌️
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こんにちは お父様の体調、心配ですね。 そばにいてお世話してあげて下さい 更新は、りかりーさんが落ち着いてから ゆっくりでいいと思います。 待っています。 りかりーさんも体調を崩さないようにして下さいね
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