毎月24日の夜は、外に出てはいけない。外に出たら“ヒイミさま”に呪い殺される――。伊勢崎結花は、そんな呪いの伝承が伝わる地域の高校に通っている。入学して間もない頃に一目惚れした先輩・野村朔太郎と過ごす時間を幸せに感じていた結花だが、その先輩が自ら首を絞めて自殺したという。呪いのせいだと確信した結花は、その前日に先輩と2人で話していた転校生・奥山里桜を問いただす。彼女は仮屋町に住み、“面人”と差別されていて……。切ない心霊怪異譚。

2人きりで暗がりに入ると鬼に遭う。そんな噂話を聞いた女子高生の遠野夜は、下校が遅くなった日の暗がりで鬼に襲われた。一緒に歩いていた、想いを寄せる同級生・陽を失い、夜は失意のまま入院することに。警察に鬼の存在を信じてもらえず、カウンセリングを続ける中で夜は、足を負傷した少女・月と出会う。夜は彼女から、「暗がりに入ってはいけない」と忠告されて……。疑う心が暗がりの鬼を呼び起こす。二転三転するオムニバスホラーミステリー。

担任教師に密かに恋をしていた高校2年生の日下芽依。ある日の放課後、思わせぶりなクラスの人気者・朝倉十和に誘われて一緒に帰ることに。しかし不意に意識が途切れ、目覚めると彼の部屋で拘束されていた。刃物片手に「好きなんだ」と迫る十和に恐怖で支配され、彼の言うことを聞いていた芽依だが、段々と違う想いを抱くようになる。2人きりの奇妙な監禁生活の中で、恋と愛は歪に交わっていく――。ワンルーム・ラブサスペンス。

既婚者のタクシードライバー・西村裕人は、事務所の命で精神病院の患者を送ることになる。その客は、“金魚”と呼ばれる少し変わった18歳のデリヘル嬢・朱音であった。彼女が働いていた店の廃業が決まり、父の借金を返すため「私を40万円で買ってくれませんか」と西村に持ちかける朱音。2人は契約という名のもとに、肉体関係を結ぶ。純粋に西村を思う朱音とは対照的に、不貞を繰り返す西村。その先に待ち受ける悲劇とは――。大人のサイコ恋愛サスペンス。

ある事件から20年。当時小学1年生だった被害者の少女・木村薫は大人になり、過去を忘れ今を強く生きている。そんな彼女は恋人の佐々木悠真と関係を深める事が出来ず悩んでいた。ある日、薫は見知らぬ男に「佐々木悠真は人間の皮を被った悪魔。あなたは騙されている」と忠告される。それは薫の忌まわしい過去の記憶が呼び起こすきっかけとなった。その日を境に、薫への悪質な嫌がらせが始まり――。2人の男性の間で揺れ動くヒューマンラブサスペンス。

寿司屋で働く七瀬久斗は、弟の篤人と、父のような存在である店長・福原の3人で山へ登ることになった。登山日和と思われたが次第に天候が悪化し、下山を選択。その帰り道、電波が悪くなり道に迷ってしまう。篤人は森の奥に明かりを見つけ、ここがどこなのかを聞くために明かりの方へ向かうことに。しかしそこで見てはいけないものを目撃し、慌てて逃げようとするも、何者かに掴まってしまう。隔離された異質な村で行われる“神判”とは――？　閉塞的な村に迷い込むサイコホラー。

九州の山岳にある舞蜘蛛村は秘境の地と呼ばれる小さな村だ。圧倒的多数の蜘蛛種が棲息していたことから、古から蜘蛛神信仰が続いていた。高校1年生の富山灯里は、村の例大祭で土蜘蛛の花嫁役を演じることが決まる。憧れの大役を前に、練習に励む灯里だったが、練習初日から土蜘蛛役が倒れて再起不能の状態に。灯里の想い人で生物学教諭の美蜘蛛亜蓮が代役に決まるが、次々と凄惨な殺人事件が起こり――。因習深い村のホラー×異類婚姻譚。

休暇を利用して翠眼島を訪れることにした警察官の宇佐美俊介は、島に向かうフェリー上で、倉田朱美という女性と知り合う。彼女は島に移り住んだ姉・和恵を訪ねて来たそうだ。ところが姉が居るはずのペンション『翠眼亭』のオーナーから、彼女が働いている事実は無く、3泊ほどして帰ったと聞かされる。翠眼亭を購入しようとしていた和恵の行方は？　そして次々と怪死事件が発生し、各々が抱えた事情が明らかになっていく――。孤島ミステリー。

予備校講師を務める小川康雄の愛娘が、暴走したバイクに轢き逃げされた。逮捕された渡瀬凌磨の犯行は一貫して過失による事故として扱われ、短い懲役刑が科せられた。判決に納得することができなかった康雄は、犯人を自分と同じ目に合わせるべく動き出す――。一方で、病死だと聞かされていた父にある疑惑を抱いた中学生・林圭磨の物語が語られていく。大切な家族を理不尽に奪われた者たちの運命が交錯する――。復讐者たちのサスペンス群像劇。

平凡なサラリーマンの霜月久哉は、理不尽に怒鳴る部長の説教に耐えながら、大切な家族のために日々働いていた。ところがある日突然、妻と娘が失踪。何の手掛かりも得られないまま半年が過ぎた頃、一枚のDVDが送られてくる。そこには愛する妻と娘が凌辱され、薬漬けにされた姿が映っていた。絶望に苛まれ会社を自主退職した久哉だが、事件の裏で上司と親友が糸を引いていることを知ってしまう。激しい怒りに燃える久哉は、復讐の志がある者にのみ力を与える"怪猫の刀"を購入し、復讐の道を歩み出す――。哀しきバイオレンスミステリー。

愛する妻と娘を失った吾妻佳佑。刑事を辞職し、フリージャーナリストとして働いていたが、かつて捕まえることが出来なかった猟奇殺人鬼・蛭間が自首したという報道を耳にする。極秘の移送計画を匿名の人物から聞き付けた吾妻は、すべてを奪った蛭間に復讐するため、彼が乗り込む北海道・東北新幹線へと同じく乗車する。そして復讐の機会を伺っていたが、蛭間が列車内で脱獄に成功して――。列車内に狂気が解き放たれる、シリアスミステリー。

金曜日の夜になると、切り裂き魔“サキちゃん”が獲物を探して町を徘徊する。これまでの被害者は5人、皆若い女性であった。サキちゃんが人を襲う理由が気になっていた高校生の“僕”は、友人の桜井浮羽と共にその正体を突き止めようと調査を始める。しかし調べているうちに、被害者の1人が皮膚が黒く変色した状態で死亡してしまった。サキちゃんとの関連性を疑っていると、今度は浮羽がターゲットになってしまい……。切り裂き魔に対峙するミステリー。

幼馴染の穂香が失踪した。彼女は学校にある鏡の中に連れ去られたのだ。ミナミが穂香を追って鏡の中に入り込むと、そこで風変わりなおかっぱの少女・時子と、逆さまに吊り下がった赤い化け物“逆鬼”に出会う。裏世界の学校に閉じ込められたミナミは、2時間しかない世界をループしながら、逆鬼による“矯正教育”を受けなければいけない。逆鬼から逃げても、捕まっても、逆らってもいけない状況で、穂香を探しながら脱出を目指すが……。裏世界の学園脱出劇！

4月から駒鐘高校を騒がせている連続殺人事件、通称“死神”事件。最初は事故死と思われていたが、被害者が皆、亡くなる前に“死神”を名乗る人物から手紙を受け取っていたという情報が広まる。その手紙が送られてきた人物は“道化師”と呼ばれ、手紙には「13日以内に人を殺さないと死ぬ」と書かれているらしい。2年A組の矢神龍星は愛する人を事件で失い、復讐を決意する。死神の正体は一体誰なのか――。猟奇殺人ミステリー。