アマート

あぁ面白かった。 実は表紙絵に釣られて読み始めてしまったのですが、どうせラノベ的に絵で釣ってやろうっていう中身スカスカな作品なんだろうな、バロスww と思って軽い気持ちで閲覧ボタンを押した五分前の私をぶん殴りたくなる、素晴らしい作品でした。 いいキャラした登場人物達には既に他レビューで触れられているので、メインの舞台、架空の惑星《白昼夢》に少し触れます。まるで実際に見聞きしたかの様に緻密に書き上げ、それにより地球との対比が際立っています。 ご存知でしょうか、ヒッチコック監督の映画『白い恐怖』。この映画の特徴として、夢の部分だけシュールレアリスムの代名詞ダリが監督を務め、ヒッチコックではなし得ない印象的な幻想シーンを作り上げています。私はこの構図と近い物を感じました。地球と白昼夢が同じ世界にありながら別々の世界観を持っているのです。 嫌気がさすほど現実を書いた地球。 対して、地球人にとって歓楽街として存在する、ほろ酔いしたかの様な心地良さがある白昼夢。そんなふわふわした状態から緊迫していく臨場感はたまりません。 これは是非体感して頂きたい。きっと貴方も白昼夢に行きたくなるでしょう。 なお白昼夢には、人智を超えた生命体や奇抜なオブジェが陳列しているという面白い設定もあります。夢月様のセンスが光ってますね。 因みに、主人公の晃がメスシリンダーとハルゲニアを合成した様な何かに突っかかっるシュールなシーンがあるのですが、私はあれをオブジェと信じたい……。 ラストも必見。晃の拳銃とヴァイオリン、つまり“断つ”か“届ける”かの決断は見ものです。 改めてましてお礼申し上げます。こんな素晴らしい作品を世に出してくださり、有難う御座いました★
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