PIAS

エブに限らず携帯サイトの時代小説では、現代の“若くてかわいい”女の子が、幕末にタイムスリップして新選組と関わる…… ――という、パターンが一大勢力になっている。 もちろん中には、おもしろい作品もあり、それを否定するつもりは毛頭ないが「またこのパターンかよ」というのが、正直な気持ちだった。 しかしこの作品は、明らかに趣が異なっていた。 それはまず、ヒロイン?が、ピチピチの女の子ではなく“普通のおばさん”だったこと。 そして肉体ではなく、意識だけが時空を超える。というところだ。 この“普通のおばさん視点”というのは、新選組に対して過剰に入れこむことなく、比較的冷静な立場から見た彼らを描くという点において、優れた発想だと思う。 しかし、何よりもこの作品を魅力あるものにしているのは、作者の過剰ともいえる、作品世界に対する思い入れではないだろうか。 作者のこうした想いは、空回りするのが通り相場だが、この作品に関しては、それが逆に牽引力の役目を果たしているように感じた。 ともあれ素晴らしい作品をありがとう。
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