夏月 海桜

こと。楽器のこと。これを箏と琴が別物だと知っている人はどれだけいるだろう。この作品。作者の琴という楽器に対する愛をみる。知識も教養も深いし、とても丹念に資料を当たられたはずだ。それはまさに愛のなせる技。そして、琴に纏わる人々の人生をじっくりと掘り下げている。最初に琴という楽器について細やかに説明をされているが、それを理解した上で本作の本編を読み込むと、序章の大切さが解る。更に、第一章。ある天才、いや、神に愛されし琴人の生涯が記されている。第一章最後にかの人の生涯を読んだ私は涙が零れた。ああ、愛とはなんだろう。と考えるほどに。続く第二章は後半というべきか。また別の琴人の生涯が描かれている。だからといって、第一も第二以降もその人だけではない。纏わる人々全ての人生を描いているのだ。そしてラスト近くには……。人生とは愛も憎しみも別れも悲しみも喜びも様々ある。それが丁寧に描かれているばかりか、全てがここに通じるのか、と構成に頭が下がった。何世代もの時の流れが解るのは、この丁寧な人々の生涯を描く力ではないだろうか。流れる事で、読者はなんと思うだろう。一体誰に共感しながら読むのだろう。ただ一つ言えるのは、一方では善人でも他方では悪人と思われる事もある。しかし、それは人間であれば誰しも当たり前ではないだろうか。どれだけ位が高くても。逆に低くても。そんなことを思いながら、息つく暇もなく、私は本作を読んだ。間違いなく良作で、音楽が好きな人は確実に読むべき作品である。琴と箏の違いを知りたい方は、ぜひページをめくってみてはいかがだろうか。
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とても丁寧なレビューを有難うございます!m(__)m 長編を通り越した長さであり、序章がとっつきにくいこともあって、なかなか読んで下さる方がいない、読者様には拷問な作品となっております。読んで頂けただけで、幸せです。最後までお付き合い頂けたなんて、奇跡です! リアリティーを出すため、様々な階級の人間を登場させ、複雑な群像劇に致しました。結果、伏線だらけで難解なものになってしまいましたが、他に描きようがなく、書き直しは不可能かと思われます。誰に感情移入したらいいか、わからない位、沢山の人々が登場しますよね。 私は基本的に人間は皆善良なのだと信じております。だから、善人の悪行、そもそも立

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