【コメント】

彼は輝く夜空を打ち砕く。

ベストレビュアーズより失礼します。小説全体としては独特な表現である、前衛的である、と賛否どちらも含み評価します。前提としてケータイ小説に私が馴染みがないため、書籍として読んだならという視点からになりますが。以前にも一度拝見し、イベントにて二度読み返させて頂きました。単純な語彙の豊富さだけでなく、真に迫る選択のセンスは流石というほかありません。状況状況での文章と会話の間の取り方もうまく、一つの物語としての流れは良くできています。　しかし、語彙力に反して不思議なほどに文章に起伏がない。三度読んでここが一番本質的な問題だと私は判断しました。本当はストーリーに言及しようと思ったのですが、読み返しても触れるべき起承転結や伏線を見つけるのにも一苦労。参考までに他の方のレビューも覗かせて頂きましたが、内容に切り込まず文章への指摘が多いのもそのためでしょう。同じことを二度、三度と言っても実になりませんので補足としてレビューさせていただきます。　起伏のない良い例は戦闘シーン。主人公の怪我の痛みを鮮明に表現しながら、とりとめもない思考、冷静すぎる状況判断が目立ち緊迫感がない。ここに限らず、あらゆる場面が言葉では喜怒哀楽があっても文章は淡々と褪めていて起伏がないという結論になります。細かすぎる状況描写に対し、背景描写の簡素さも一因です。台詞も丁寧すぎたり、ただけだるげだったり、感情に踏み込む一歩が欠けてさらに単調としています。総評として文章は難しいだけで単調、語彙に振り回されている。背景もあいまいな中、主人公の実況状態で感情移入がしづらく物語りに入りこめない。内容が結果として飲み込めない。　では具体的な方向性です。まず視点をはっきりさせ、俯瞰して一度読み返す。背景にも感情移入させ、キャラクターを密接させて舞台を整えてあげる。自分の言葉でキャラクターを縛らず、登場人物たちはもっと自分勝手に動かし、それに振り回されて文章を書くくらいでいい。伏線はもっと見えやすい位置に置き、けれど輪郭はにごしてもどかしいくらいに。ざっくりとしているようですが、まっすぐに物語の一貫性を保ち、あらゆる場面に対して当てはめられるだけの語彙をお持ちだからこそ柔軟性のある意見のほうが良いと判断しました。字数の都合、言葉が砕けたのはお許しを。では、お互いよりよい作品を目指し精進しましょう。以上です。

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