たすう存在

古典的なボーイ ミーツ ガール ストーリーかと思えば、冒頭と最後の一行に示されているメッセージはそうではありませんでした。 コンサート会場に向かう、これから始まる冒険に期待と興奮とちょっぴりの不安を持って挑む和也の心境は、夕日の色にも馴染む懐古の気持ち。 それは、謝罪ではなく、逆境すらも利用して夢を叶えた友人への称賛なのかなと感じました。 日々の生活に追われ、褪せてきているはずの思い出はだけど、今でも心を熱くし、「普通」となりつつある和也を二種類の人間のうちの無個性の塊にはカテゴライズさせません。 おそらくは「俺の人生こんなはずじゃない病」は今、「俺の人生こんなもんだった病」になっているのでしょうが、そこに「それでも……がついてしまう病」も併発しているのではないかと思いました。 秋は冬に向かう入り口ではありますが、ハロウィンはまた収穫祭としての性格も色濃く持っていたはずです。 和也の人生における収穫、楽しませていただきました。 ありがとうございました。
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素敵なレビューをありがとうございます。じんわり心に残る作品を目指したので、少しでも伝われば幸いです。 作品紹介に使いたいようなフレーズに感謝。

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