崩壊して行く蒼く彩られた瞳の中の、真っ赤な客室……  これぞ、怪奇サスペンス・ホラーミステリーの決定版!  人々の情念と業(ごう)、それに愛憎が二重・三重に折り重なって、使われていない呪われた客室【609号室】(逆から読んでも「609」!!)を浮かび上がらせて行きます。  人は、自分の理解を超える出来事や現象、現実から「目を逸らしたい」という本能があり、それゆえに今作のホテルマンの青年が、物語の中で対峙する怪事件の裏に潜む真実は、読者を恐怖のドン底に突き落とすのです。  ホテルの美しく、夢に溢れたネーミングとは裏腹の《過去の怨念》。  クライマックスで、ゴルフバッグが、瞳のブルーが、そして「隠されていた事件の真相が」徐々に明らかになり、伏線を一気に回収して行くカタルシスはお見事です。  これらの描写や舞台設定の巧さ、深夜のホテルの無機質な不気味さは、実際にホテルマンとして働いている作者様ならではのディテール&リーダビリティーの高さを構築しているのです。  櫻木という準主人公の、悲しくもカッコ良いキャラクターも魅力ですし、全ての物語がホテルという閉鎖空間で進行し、やがて舞台の崩壊と共に集結するまでのシンメトリーは、言いようのない読後感を与えてくれることでしょう。 「こわいぞ、よんでごらん」  素晴らしい恐怖をありがとうございます!
4件・1件
作者の青山にさえ「この作品読んでみたい!」と 思わせる素晴らしいレビューをありがとうございました。 ホテルミステリー、 ぜひまた書きたいと思います。 熊川さん、ありがとうございました。 これからもよろしくお願いします。
1件

/1ページ

1件