吉田安寿

 吾妻さんの作品は、一瞬でその場へと誘ってくれる不思議なパワーがあります。  このお話を拝読していると、雨の降る音や、部屋に漂う香の残り香、更には琵琶や二胡の音色が聞こえてくるようです。  主人公の翠玉は、そういう時代、仕方ないの事情とはいえ、17歳で身を売る仕事に就いています。しかし彼女は、自分のことすらどこか客観的で、さめた眼差しで自分を取り巻く環境や人々を眺めています。  彼女の視点が客観的であるため、物語のスピードがゆっくりで、そこがまた独特の雰囲気があってステキです。  子供でも大人でもない多感な年齢であるのに、なぜ翠玉は感情にフタをしてしまったのか。耳飾りにまつわるお兄さんとのエピソードなど、気になるところがたくさんあり、今後の展開がとても楽しみです。  オールドシャンハイの雰囲気が大好きな私としては、たまらんです。  很好!!!
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お返事遅れましてすみません。 拙作へのご高覧及びレビューどうもありがとうございます。 長らく更新できていない作品なので、その点も含めて恐縮です。 日本の遊郭を描いた作品を読んでいても、遊女の艶やかな美を強調した描写は多いものの、リアルなその空間にいて感じ取れる匂いや音といった情報にはあまり重点を置いていない場合も多いと感じました。 また、ネット小説だと、遊女の哀しさをテーマにはしていても、「もともと美人の女の子がトップの花魁を目指す」式のストーリー、実質は逆ハーレム的な展開が目立つ点も気に懸かりました。 上海の花街でも「長三」と呼ばれる高等妓女はいましたが、彼女らは花街の中でも一握りのエ
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