荒木 功

表紙からネオファンタジーラブロマンスのイメージで読んだっちゃ。冒頭から真面目な世界が広がってた感ずがしたな。初めの一文がすっと中に入ってそのまま最後まで読んじまったんだけんとも。 主人公の「僕」がかっこいがったのは、ヒロインの「君」を攻撃から庇う場面。お野菜帝国で知り合ったタイムキャットから教わった魔法の呪文はゴルフ用語を捩ったもんでねえすか。よぐまあ、使いこなしてお野菜帝国の分裂を止めるという流れにして、敵国果物一族の隠謀を暴いたもんだ。ヒロインの「君」がめんこいのは主人公の「僕」に一途なところ。背中の黒い羽根は最後で解る仕組みになっていて納得しますた。嘘が発覚したときはあたしもヒロインの気持ちに共感しました。 好きなキャラはタイムキャット。基本的に会話は二人だけなんだけんどもキャットが元の世界に戻るための条件や鍵となる事を忘れた頃に告げてくる行為は主人公でねくても「おだずなよ」てなるっちゃ(主人公は標準語)。それは魔法バトルに匹敵するドキドキ感を与えてくれますた。んだって、時々「あ、間違えた」とか「やべ、集中力が切れそう」と言ってカウントを巻き戻すっさ。しかも派手に大胆に無駄な振で。帰りたくない「君」はともかく、帰りたい「僕」には対応策をくれる反面で地雷だったかもすんねえな。帰りたくない「君」はキャットと遊んでばかりでカウントさせねえし。二人はどんだけ擦れ違えば気すむんだか、だんだん可愛そうになって来る展開ですた。とはいえ、生真面目のど真中で混沌をくれる感じは好きです。 作者は二人を人間か野菜かはぼかして描いてたけんど、解釈は人の感性によって違んでねえべか?あたしにはお野菜の擬人化に思えたけんど。他の二人は違うみてえだな。それも作者様の力量なんだべ。 そして見所は創造主の「僕」と主人公の「僕」の使い分け。これが吉祥寺と同じ鍵となるこの作品。創造主の「僕」が自分探しをしている本当の理由を知ったときは切なくなりました。結局、創造主の「僕」は語り手としてラストまで来るんだげんとも最後のぶんまげるような雨を背景に滑り出したヒロインの「君」へ向けた台詞は主人公の「僕」とシンクロした素直な気持ちだったのではと思っています。 始まりは純文学、中身はどたばた。最後はきっちり作者色。キャラクターに持たせた秘密と真相をうまく扱った魅力的な作品ですた。(★★)
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おはようございます。 きゃー、荒木さん、素敵(*≧∀≦*) しかも、しっかり方言使ってる。 架空レビューお疲れ様でした。

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