神楽 佐官

いや、まいった。 これは本来WEB小説に投稿される種類のものとはタイプが違う。 表紙が不気味なので以前から存在は知ってはいましたが、ツイッターでフォローしていただいたので読ませてもらいました。 いや、たしかに難解で。 ツイッターでフォローしてくださらなかったらこんな難しい作品読まなかったかも(汗)。 一種の幻想文学だとは思うんですよ。 神話的というか寓話的な構造だな、と。 一言でいえば少年が世界を知る話で、文字を知ったり、山羊女を知ったり、隠された秘密を知ったりなんだかんだで。 野蛮な世界があって、まず少年がおじさんのもとで勉強するわけで。 でも単純に理詰めで読む話じゃないのかなって気もします。 レンズを磨くおじさんとかスピノザかよと突っ込みながらも考えてみたのですが……。 山羊って悪魔的でしょう? 女ってある種の宗教的な見方からすれば悪魔やし。しかし、その山羊女が世界の鍵となっているわけで。 この悪魔的ってのが、作品全体の雰囲気をつくっているよな~って気がします。べつに山羊女は悪魔ではないのですが。しかし悪魔=知識の象徴なら悪魔かもしれませんがね。 あとやけに『読む』という行為に対してにこだわっている作品だな、と。 作者様のナマの心象風景が小説ににじみ出ているって意味ではたしかに文学だよなぁって思います。
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幻想文学というくくりはとても嬉しいです。 レンズ磨き、構想の当初はそのつもりだったんですが、スピノザがとにかく難解で自分には理解し得ないものだったので、世界を取り戻すための具体的な取り組みとしての位置付けがやや曖昧になったかも知れません。 本の中に閉じ込められた世界=知識が静だとすると、この物語において世界の中心に位置して自ら動かす山羊女は動であり悪魔的である。 丁寧な感想、ありがとうございます。
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