Satori

素敵なタイトルに惹かれて読み始めました。 長編だからゆっくり読もうと思ったのに……後半一気に読んじゃいました。 読了直後にlimeさんに、興奮状態のまま気の狂ったコメントを送らずにはいられないほど、心に訴えるものがある作品です。(先ほどは失礼いたしました;) はじめは面白い設定の話だな、と思いながらミステリー小説として読み進めていました。 でもこのお話は、いわゆる謎解きミステリー的な側面もあるのですが、それ以上に人の温かさを書いた作品であるように思いました。 読了後、頭の中で一からあらすじを追っていて思ったのですが、私の好むタイプのストーリーかと言うと、実はそうじゃないんですよね(笑) それなのに、そんなこと忘れるくらい雨猫の世界に夢中になっていて、読み始めると止まらなくなる。 由希と倉田、二人の持つ葛藤はとてもリアル。 由希の優しさや穏やかさの奥に潜む暗い闇。人を寄せ付けない雰囲気から滲む複雑な感情、倉田の目を通して見える緩やかな変化。 倉田は徐々に変化してく心だけではなく、カメラの世界、仕事と作品撮りの違いだったりと、芸術家としての葛藤まで細かに描かれていて読み応えがある。 後半一気に読んでしまったのは、謎解き展開に加えて、由希や倉田の心がどう変わっていくのかが気になって仕方なかったからかもしれない。 重いテーマを扱っていて、書き方によっては読み手の心が落ちそうなのに、そうじゃない。触れ合うごとに徐々に変化していく心の描写が本当に上手い。 すんなりと頭に入ってくる文章で、こんなに読みやすい文章はないと思うほど。情景描写、心理描写共に申し分ないですし、それは私が今更言うことでもないと思うのですが、limeさんの書く文章ですごいなと思ったのは、言葉以上に感じさせる文章である、ということ。 希望が見え始めると同時に始まる、切迫したストーリー。 100回読んだら100回泣けるくらい、胸が苦しくなるような話。そして、胸が温かくなる話。 素晴らしい小説を読ませていただきありがとうございました! PS:サブキャラ含めてみんな好きですが、由希が大好きです☆
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Satoriさん、雨猫にこんなに丁寧なレビューを、本当にありがとうございました!! レビューを読むこちらの方がドキドキしてしまいました。 書きながら伝えたかった想いが、こんなに真っ直ぐ、余すところなく伝わったことが、嬉しくてたまりません。 由希自身も、その周辺も、あまりに重い空気が漂っていて、楽しく読める物語ではないのでは・・・と心配でしたが、最後まで読んでくださって、そしてその結末に温かいものを感じてくださって、すごく嬉しいです。 このタイトルに惹かれて、というのも感激です。 実は、この物語、タイトルが先に生まれました。 このタイトルにふさわしい物語をず~~っと模索し、2年かけてプロットが
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