藤白 圭

百人斬イベントへのご参加。 誠にありがとうございます。 読了致しましたので、レビューさせて頂きます。 まずはタイトルが秀逸ですね。 読み終わった後、「なるほど」と深く頷けるタイトル。 題名は作品の顏でもあります。 この点、すごく練られた感じがしました。 さて、内容について。 設定が面白く、成功例の少ない二人称小説の中では、及第点が貰えるのではないでしょうか? 多分、相当勉強されたのではないのかなぁ?とも思いました。(芥川賞の中で成功例と呼ばれている作品であっても、やはり、本当の成功とまでは言えず、及第点だと感じる人が多く、それだけ二人称というものは、基本、視点に関しては「オレ」「私」なだけに、難しい書き方だと思います。そこにチャレンジし、ここまで書き上げられたのは凄いと、素直に感動しました。) ただし、設定や構成力、形式等に力が込められていただけに残念な部分が……。 解説の部分に書かれてあったチェルノブイリの話。 これについては作品により深みが増し、そこを踏まえて再び最初から読もうという気持ちになりました。 が。 他の細やかな解説(ネタバレ)がなければ、この作品の「本意」や「真実」が伝わらないというのは、個人的にこの作品の最大の欠点なのでは?と思いました。 叙述トリックを巧みに利用しながらも、所々に「おや?」という伏線はしっかりありますが―――― 主人公が二重人格だという点に関しましては問題なくすぐに理解できます。 が、聴覚のない人だけが集められている島で、あるならば。 視覚を失った人が、その分、嗅覚や聴覚が人並み以上に発達するように、臭いや手触り、目で見たもの。 それらがもっとリアルに伝わる描写が欲しかった。 また、一瀬さんに関しては、「特殊な能力」が何なのかを読者に分かるか分からないかラインのギリギリのところまで描いてあると、全体の流れも意味も、ストンと胸に落ちるような気がしました。 多分、作者が後に書かれた作品である「二人のサイコ」を先に読んだからでしょうか? 細やかな描写に長けている作者の良い部分が抜けていたような気がいたしました。 とはいえ、新しい試み。新しい視点や価値観がふんだんに盛り込まれた「挑戦的」な作品。 興味深く、そして、楽しまさせて頂きました。 新しい刺激をくださる作品を読ませて頂き、深く感謝致します。
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 ありがとうございます!!!!! ○タイトルお褒め頂き嬉しいです! 大部分がTSUTAYAへのサイクリング中の思いつきですが、の・に・を等助詞部分は並べ替えたりして少し練りました ○二人称の形は不自然にならんように結構用心したので、ある程度うまくいっていてよかったです! でも必要な説明と両立できないようでは、まだまだであります…! ○正確で核心的なありがたいご指摘です!  なけなしのトリックは筆力が不十分なうちに使うべからずという教訓を、ここんとこヒシヒシと感じております  書いてる頃は「はよ書き表したい」という気持ちばかりが先行して注意力が落ち、自分では解説部分の大筋を本文で説明できて
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風間さん、丁寧なお返事、ありがとうございます。 「おそらく、世界観もよく分からんまま聴覚のくだりが判明しても、あんまり驚けなかったんでは」 まさしく、「ソレ」です。 「二人のサイコ」では、主となる人物の心理描写や行動描写が細かく、もう一人のサイコについても、こう、パッパッとスポットライトが当たったり、サスペンス映画でよくある、主要部分のカットが印象的に残るような手法が上手に組み合わされていたと思うんです。 なので、余計に今回読まさせて頂いたものは、「無音」の世界で生きる主人公と、島に連れて来られた人の中で、唯一「音」を知る人間の世界観と対比。 ここがもっと上手く描かれていれば……と、
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