Satori

とある物語の序章である。読む前からそんな風に聞いていたのに、これが序章か?と思うほどに物語の中にのめり込んでいました。 加害者に罪の意識がなくても、被害者を生み出してしまうような、幼少期特有のいじめ。周りに流されまいとするゆえに、その連鎖と巻き込まれてしまう友哉。心の中で感じた気持ちを表に出すことが苦手な転校生の由宇。 この作品もlimeさんらしいディープな世界です。 謝ることもできずにただ友哉に付き従う繊細で内向的な由宇。 そう、謝っても友哉が怒るのはわかってるし(笑)、でも気にかけてくれた嬉しさを伝えたくて、由宇は側にいたりするわけだけど、その気持ちを微妙に友哉が掴みきれていなかったりで、空回りする感じにやきもきしましたが……limeさんはこういうじれじれを書くの上手い(笑) そうそう、違和感の作り方が巧妙でした。 由宇をちゃんと分かっていると、気付くんですよねどうしても。間違ってはいないんだけど、やっぱりそれは友哉の都合に近い部分があると思ってたので。 ラスト+次章のはじめを見て、そこも含めた伏線だったのかと納得しました。 もしあの瞬間が訪れる前に、二人にあと一週間時間があったら、結末は違っていたのではないかと考えてしまう。 そしてやはり失くしたものと同じものは、たったひと時でも存在し得ないのだなと思い、さみしい気持ちになりました。 序章からすでにディープに感じましたが、たぶん本編はそれをさらに上回る深さがあるのだろうと予想。期待しています☆
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わ~~、Satoriさん。「呵責の夏」に素敵なレビューをありがとうございます! しみじみ、私もこの序章を思い返してしまいました。 そもそもこの物語を書こうと思ったきっかけは、「子供の頃のほんの些細な争いで、一生償えないような悲劇が起きてしまった時、人はどうやって立ち直るんだろう」と、ふと思ったからなんです。 罪もない、何気ない言動で、取り返しのつかないことが起こる。その恐ろしさ。 友哉のような人間を救える奇跡が起こらないかな・・・と、そこで現れたのが春樹。 救済の物語でした。 (でも、救世主として描いた春樹のドラマに、自分自身が溺れて抜け出せなくなり、このあとのKEEP OUT本編を書いた
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