朝夕少しずつ読み進めていったのですが、 個人的な読み方としては夕方の電車の中で読み耽るのが正解、な 誘われていくファンタジーの世界でした。 天の国の都市群、キャラクターたち、この世と少し違って少し不思議なもの。 それが終盤になってくると目まぐるしく畝るように描写されているのが、 非常に面白くあっという間な時間でした。 その管球があるからこそクライマックスが印象深いです。  隆が娘を探しに天の園へ軽トラックで レンタルしてまで向かっていくその様は、 最初は止めて諦めようとする 妻の智子を説得してでもそれでも執着するのは、 「輪廻転生」があると僅かでも信じる故の豊かさと 滑稽なまでの悲しさなんですよね。 その先にある「非業」を告げられた時 得も言えない気持ちになるのだけど、 反撃の一手を上手に智子に昇華させていったのが、つまり選択肢として 「それしかない」からこそ強く生きる事を伝える メッセージになり得たかなと感じます。 死生観を一考する読み応えのある物語でした。
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