丹一

「なぜカラスは机に似ているのかな?(Why is a raven like a writing desk?)」 これは原作『不思議の国のアリス』のなかで、ハッターがアリスに問うた“なぞなぞ”です。 『Alice in cruel land~狂気の国のアリス~』を読んで、まだブスブスと胸が燻っている。 弱者が虐げられる物語を読むとき、この手がそこに届かないことに歯噛みする。 アリスのこれからを想像すると、身悶えるような罪悪感に苛まれるのだ。 それは人というのは本来、性悪説だとする僕の考え所以であろうか。 未成年への性的虐待──それは閉じられた世界での狂った所行だ。 「なぜならば、どちらも少しばかりの“note(鳴き声)”が出せますが、非常に “flat(退屈)”なものです。そして、どちらも前と後を間違えることは決して(nevar)ありません」 (nevarはraven(カラス)のつづりを後ろから読んだもの) これが最初の“なぞなぞ”の答えで、原作者ルイス・キャロルが死の前年に書いたものです。 現実のアリスは泣き声も出せず、死ぬまで終わらぬ退屈ならざる陵辱に苦しむのです。 これが不思議な国(wonder land)ならぬ、残酷な国(cruel land)に住む現実だ。 作者が提示した“なぞなぞ”に、狂うことのできない我々は“答え”を見つけることができるのであろうか?
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……(*´Д`) なんでこう良く知ってるのか…… おっしゃるとおり、マッドハッターのなぞなぞはどこかで別物として効果的に入れたいと思いました。 しかし、そのまま入れてしまうのも芸がない。ましてや別物の話として創作しているので匂わせる程度、その話を知らない読者にも違和感なく繋がるようにと考えました。 答えのないナゾナゾとして出てくるものの、実際には答えはある。しかも様々なものが。 でも1番親しみやすいのは鳴き声を取り上げた答え。 だからヒロインをわざわざ言語障害の設定にしました。身体が弱いだけでも充分物語の軸としては作用します。そこをあえて、声を取り上げたのはひとえにナゾナゾの答えを暗示したかっ
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流石のりおんさん。 色々と問題を物語に伏在させる手腕に脱帽です(ΦωΦ)
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