白い彗星

私が得た感動。その全てを記載するには膨大な時間がかかるだろう。人の感性など、数多なく全てを書き記せることなどそうそうないのだから。 だから素直に感じたものを、そのまま書こうと思う。初めに感じたのは、感動だった。 夏。その風物詩ともいえる夏祭りでの花火は、私だけでなく見る者全てに感動を与えたことだろう。大迫力で、美しいそれは見る者の心を魅了し、捉えて離さない。 だからだろうか……何が起こったのかを理解するのに、時間がかかったのは。 ……人々の、悲鳴が響き渡っていた。ここには人が大勢いる。それだけ、悲鳴は大きくなる。振動は、大きくなる。 それは恐怖だった。それは驚愕だった。それは怒りだった。それは悲しみだった。それは……幻想的だった。様々な感情を読み取ることが出来た。 夜空に放たれた花火……それが降り注ぎ、それらが人を、屋台を、襲う。まるで隕石……いや流星群のように。 花火が流星群のように被害を与えるなんて、超能力的な何かでも働いているのか。そう思えるほどに現実離れした様を、私は息をのんで見つめていた。読者か当事者か、どちらかわからなくなるほどに引き込まれていた。 爆炎が立ち込め、美しき地獄絵図が出来上がる。 先程まで活気づいていた人々は、まるで水分を失ってしまったきゅうりのように、体中から生気のようなものがなくなっていく……対して私は、生気が満ちていく感覚を覚えるほどに興奮していた。 (★)
4件

この投稿に対するコメントはありません