有月 晃

 冒頭、描写される趣深い風景。  赤煉瓦の館、大学通り、銀杏並木、石畳の道、ナポリタン(!)が自慢の喫茶店……と並ぶキーワード。どことなく、遙か北方のあの街のことかな?と想像を膨らませながら読み進める。  さて、タイトルにある「古書店 クスノキ堂」はそんな空気の中に位置していて、もちろんこの物語の舞台となるらしい。これは期待せずにはいられない。  入り口の扉を開いて店内へと入っていく視点。  店主と客のやりとりの描写……  あれ? なんだか雲行きが怪しくない?  やがて明かされる、店主の奇妙な能力。  そして、新たな来店者。  そこからのやりとりは、本好きならニヤリとせずにはいられない。いや、むしろ最後までニヤニヤしっぱなしで、そして最後にさらにニンマリとさせられてしまう(映画版に登場する古書店のおじいさんが浮かびました)。  そんな素敵な掌編です。  アマチュアでも手軽に作品を掲載できるネット小説なんて書いてる私ですが、やはりちゃんと製本された書物って良いよなぁ……と、思わず溜息を漏らしてしまうラスト。  趣深い物語、ご馳走様でした。
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晃さん! 素敵なレビューをありがとうございました! 舞台は私の住む土地を基盤に、空想も組み合わせた街並みになっています♪ ラスト、本の名前=著者名ですので、「やっぱりあの物語ね」となってもらえるように(笑) 他の本のタイトル・内容については私の想像で作ったものでした(*´Д` *) 本の温かさが伝わればいいな...と思っていたので凄く嬉しいです!
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凪沙さん、こんばんは。 ご返信が遅くなりまして、すみません。 舞台は実在の場所ではないのですね。てっきりこんな懐古的な雰囲気の街があるのかな、と想像を膨らませていました(笑 本の温かさ、ばっちり伝わりました。思わず、ラストに登場するあの本の単行本を探しに、今度の休みにでも古本屋へ足を運んでみようかと思ったくらい…… 素敵な雰囲気の物語、有り難うございました(*´-`)
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