とても静かな作品です。後半、息をのむような展開はあるものの、それでもやはり全体的に静かな印象。 それはあつかっているテーマゆえーーついつい明々白々な答えに飛びついてしまいたくなりますが、それだけではないのかなと。 私のさほど多くない読書体験から見ても、味わったことのない読み味と読後感があります。 それをうまく言葉に変換できないのがもどかしい。 誤解を恐れずにあえて言なら、冒頭のシーンにあるように、 >自分と相手との間を薄い膜で遮られているような 終始、自分と登場人物との間を薄い膜で遮られているような感覚がありました。 物語を読み解く行為は、感情移入して共感することだけが意義ではないはず。 心地よい距離感を感じながら、深淵を堪能できる希有な作品です。
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