有月 晃

 「渡り鳥」ですよ。  こんな言葉で始まるあらすじを見かけた時点で、もう読まずにはいられないわけですよ。男として。  で、読んでみましたよ。  もぐさん、こんなのも書けたんだなーとか思いながら。  でも、思い返してみればもぐさんの作品は一見、たくさんの登場人物達がわちゃわちゃと騒がしく動き回りながらも、それらを俯瞰する一つの冷え切った視点がある気がします。  夢だけを拠り所に育った島を出た青年が、故郷に向かう場面でこの短編は幕を開けます。この時点で、もう大人ですよね。「都会に出た主人公が現実を知って挫折しそうになりながらも、様々な出会いや仲間の助力を得てのし上がっていく」という一番美味しいプロセスはバッサリ切り捨てて、後日談的なエピローグを書く。いいね。  そんなこんなで、とても味わい深い素敵な短編に仕上がっています。  コンテスト佳作、おめでとうございました。  でも、こんなものじゃないですよね。  つぎも待っていますから。
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こんにちは。 レビューありがとうございます。 そうですね。こちらは少し離れたところから、過去や現在を見ている視点にしました。 シリアスな物語で僕って人称は、俺よりも遠く、私より近く感じますので、それを採用です。 もぐらはこの中途半端な離人感と余所余所しさ、読者への他人行儀さが好きで、よく僕を採用します。 主人公が50歳でも、よく合うと思いますー。 バッサリ切ったのは、情報をこの順番に順序立てるためですー。 海というお題は隔つものとして、採用いたしました。 今だからいいますが、夏純とトコナツの補欠作品です(はーと)
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