あーる

絶対にボロが出る、人の記憶を自分の都合のいいようにすり替えるなんて、普通ならそんなリスキーなことを思いつき実行することはない。 …でも、このお話の聖志はそれをしてしまう。 まだまだ広い視野も持たず、他人の事を慮るのだってままならない高校生。 そんな中でも、圭介は他人の不安や寂しさなどを感じて寄り添ってしまう性質の優しい子ですよね。 でも、その優しさが、一方で刃になってしまった。 聖志にとっては唯一無二だった存在を、前触れもなくスッと第三者に取られてしまう… ロンリーウルフ君な聖志は、どれだけ寂しく辛い思いで過ごしたかと思うと、異常な執着をしてしまうのもわかる気がします。 だからと言って、記憶のすり替えなんて許されることではない… それでも、心配した友人牧田が「酷い、異常だ、圭介は嘘つかれた被害者、迎えになんて行かない方がいい」…どんな正論を言っても、私にはその正論が響かず、間違っているとさえ感じてしまった。 それはきっと、再会してからふたりが過ごした時間には間違いがないと思えるような丁寧な描写があるからだと思いました。 圭介は再会して間もなくから信頼以上の感情を抱いているような気がしました。 それが例え嘘の記憶のすり替えや不安を利用したすり込みから派生したものであったとしても、生まれた気持ちは過去の「記憶」のものではなく現在進行形の「事実」ですものね。 牧田に会い、聖志が逃げだし、記憶が蘇った時、圭介は頭の中はぐちゃぐちゃだと言っていたけど、それでも悲嘆もせず案外冷静に対処してるのは、すでに揺るぎなく現在進行形の「好き」がしっかり育っていたということなのかな、と思います。 そして、クローゼットのプーさんが聖志の贈ったもので、そこにいてくれたことに、心底嬉しくなりした。 探しあてた土手でのふたり。すり替えた記憶でなく、本来の記憶がさらにふたりを強く結んでくれたことに、グッと心が熱くなりました。 もう、終盤は涙で文字を追うのが大変でした。 許されない、異常と言われても仕方のない事をした登場人物に、何故かピュアさが透けて見え愛しいとさえ思わさせてしまう物語展開。 さすがたろまろさん!もう感服、脱帽のお話でした!
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あーるさん素敵なレビューをありがとうございます( た´ ▽ `ろ )ノ 「心配した友人牧田が「酷い、異常だ、圭介は嘘つかれた被害者、迎えになんて行かない方がいい」…どんな正論を言っても、私にはその正論が響かず、間違っているとさえ感じてしまった。」 ここっ! 嬉しいです!! このお話を書くにあたり、私(たろ)にはひとつの狙いがありました。 普通なら「悪人、恐ろしい人」と取られるだろう人物を違う角度から描き、読者様をその人物の味方に引き込む。彼の心情に共感し、涙してもらえたら…… 勝ちっ!!! イエーイ(ノ゚Д゚)八(゚Д゚ )ノ ←冗談です サスペンス映画だとしたら主役はもちろん圭介
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たろまろさん、こんにちは。 完敗っす_| ̄|○ 笑笑! すっかり聖志くんの味方でしたもん(^◇^;) だいぶ前に初読みして面白いこれ好きと漠然と思っていたのですが、改めて読んで漠然がクリアになって、さらにのめり込んでしまいました(o^^o) 何回でも言ってしまうけど、どの作品もサラッと読みだとわからない奥深さがあるから、読み手も心せねば!という感じです。 お返事ありがとうございました(^-^)
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