あーる

「めんどくさい」って、もったいないんだな。なんて思ってしまう、ちょっと不思議で温かい気持ちになる物語でした。 めんどくさがりで、人見知り。他人にも興味はない。一歩引いて周りを見てる主人公の小宮君。 そんな彼が「らしくない」事をする雨の日から物語は始まります。 寒がりでめんどくさがり屋さんなのに、雨の中、珈琲を飲みに出かける。しかも入った「珈琲屋」さんは初めてのところ。「おすそ分け」なんて、素敵であったかなサービスもある。 その「おすそ分け」カードに、自分あてと思えるメッセージを見つける。そのサービスを受け取った小宮君に、ほわほわほわっとあったかい気持ちが湧いてきたのを感じて、こちらも微笑んでしまいます。小宮君に起こった小さな変化。たぶんこの時はその意味など気づいていないのでしょうね。 冒頭からなんとなく感じる違和感。それは何なのだろうと思いながら読み進むと、「珈琲屋」さんがそのキーワードだったのですね。 突然旅立たなければならなくなった人たちが、その前に『珈琲』を飲みながら、ほっと『ひと時』を過ごす場所。思い思いの時間を過ごし、店を後にする。 そこで不思議な体験をする小宮君。人の繋がりの大切さと、想い想われることの尊さを知ったとき、目の前の未来はキラキラと輝き出す…… 小宮君。本当は、無意識下では人と関わることを望んでいたのかな、と思いました。 『だったら重くても冷たくても水蒸気になるより、雨粒の方がいいような気がする。』 フワフワと不安定で不確か。遥か遠くに浮かぶ雲よりも、人に優しく降り注ぐ雨粒がいい。なんて言ってるw 今にも消えてしまいそうな想い人を前に、祈るように寄り添う真っすぐな坂本君の強い想いも、小宮君が未来に繋がるチカラになった。「めんどくさい」なんて言わないで、ちゃんと目を開き、耳を澄まし、触れて感じれば、キラキラする毎日のカケラはすぐ側に散らばっていたのですね。 雨の日の情景描写の繊細さに主人公の心を映しつつ、物語の世界に誘われる。ちょっぴり切なくて、あったかくて、輝く毎日を送るヒントを教えてくれる。とっても素敵なお話です!
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あーるさん素敵なレビューをありがとうございます! まろワールド全開な小宮君に触れて、この世界観をそのまま生かした物語を作りたいと思い、構成を考えました。 うたた寝して見た夢のシーン。開かれた真っ白のページ。その右端からまるでタイプを打っていくように、つらつらつらつらと活字が浮かび上がる。雰囲気のある素敵なシーンだと思いました^^ 他人に興味が無く一人が好きなのに、外の雨に触れたいと思う。外に出れば濡れてしまうのに、わざわざ外出した小宮君。いつもはしないことをしてみよう。いつもと違う喫茶店へ行こう。この行動から、無意識に自己完結していた世界から踏み出そうとしているのだと感じました。 そ
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お返事ありがとうございます(´∇`) 冒頭の雨の景色。本当に素敵ですよね……まろさんが見た、感じた景色そのままを描かれたとおっしゃっていましたが、本当に手にとるように、そう肌で、景色を感じられます。しかも、主人公の見えていない気持ちも映されている気がして。 はい!風が舞い込んでめくれる白いページに浮かぶ文字の場面。私もとても好きです。幻想的でいて、何かが始まるような……効果音さえ聴こえてきそうな(いや私の中では聴こえてるのですがw)シーンですよね。 セロハンを剥がすように一枚ずつ白い雲の層をめくっていけば、隠れている青い空が見つかるんじゃないかと感じるところも。 重なる雲の層の横線と降
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