岡田朔

古代(あとがきに拠るとメソポタミア)を舞台にしたファンタジーです。 第一王子の若き英雄シュギルと、竜神への生贄となるはずだった少女ルリーシェの純愛ストーリーが主軸となっているのですが、母違いの可愛い第二王子カルス、シュギルの右腕で側近のロキなど周囲の人間模様も魅力的に描かれているので、誰が本当の味方で誰が敵なのかなど考えながら、ミステリーのようにも楽しむこともできました。 勿論ラブストーリーなので二人がどう結ばれていくのかがストーリーの焦点になるのですが、二人の立場の違いから当然一筋縄ではいかず、結構ハラハラさせられる場面が多かったです。なので、これは実は悲しい終わり方になるのかもと、心づもりをしながら途中まで読んでいました。 それというのも、シュギルが英雄には珍しく(なんとなく私俺様系が多いイメージがあるだけなのですが)、周囲に気遣いするがあまり、自分の本心を抑えて悩みながら生きているメランコリックな王子なので、結局周りを裏切ることができないんじゃないだろうかというのと、生贄となる為に生きてきた為に自己犠牲を問わない姿勢のルリーシェがシュギルを守るために自分から下りてしまうのではないかという懸念があったからです。 個人的にはこの二人の性格とか立場とかとっても好きな組み合わせなんですが、でもハッピーエンドにはなって欲しいというジレンマに終始ソワソワしていました。 そんなわけでシュギルの選択は、ええ!そんなって感じで、意外性たっぷりでした。その辺りは是非読んで欲しいところです。 最終的に二人が(完全なハッピーエンドではないにしても)幸せになれて本当に良かったと思いますし、カルスがここから未来の王になる為に変わっていくんだなと思うと、これで良かったんだなと作者様の選んだラストにとても説得力を感じました。 他にも情景の美しさや、戦闘シーンの描写など触れたいことはたくさんあるのですが、文字数が足りないので、是非読んだ方がご自身でストーリーを通して感じていただきたいなと思います。 完結おめでとうございます。 素敵な物語をありがとうございました。
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朔さん、レビューありがとうございます。 ラストまでお読みいただけただけでもありがたいことですのに、こんなに素敵なレビューをいただいてしまって、どうしましょう。 シュギルとルリーシェのこの物語にたくさんの思いと感想を抱いてくださったと知ることができて、とても嬉しいです。 王子シュギルは完全無欠の英雄であると同時に、ひとりの男としてはとても不器用で。そんな彼が、生贄の少女との恋を果たして成就させることができるのか。 ゆっくりと進む物語の中でそこが焦点だったと思うのですが、とにかくこのお話はお堅いので(笑) ラストまで登場人物たちを見守っていただけただけで、本当に感謝なのです。 とてもとても嬉し
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慧さん、遅くにすみません。 お返事ありがとうございました。 拙いレビューで申し訳ないのですが、楽しませていただいたお礼になれば幸いです。 私はシリアスな話が好きなので、こちらのお話とても面白く読ませて頂きました。 歴史ものもファンタジーも普段あまり手をつけないジャンルなのですが、子どもの頃に王家の紋章にドはまりしていて、考古学者になりたいとか密かに思っていた子どもだったので、古代文明はとても魅力的に感じます。(お小遣いをスカラベに使うような子どもでした) わからないことがまだたくさんあって、古代文明にはロマンがありますね。 個人的にはロキのファンです。

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