海外を舞台とした作品レビューイベントより
親子3世代に亘る映画俳優一家に生まれたアンドロギュヌスな美少年。 間接的に引用される映画の風景は、景色だけではなく、心象風景も映す。 美しさの中に見え隠れするカルマ。 日本ではなく、海外に設定をおくことで、リアリティとカルチャーが綺麗に融合し、想像力を掻き立てられる。 銀幕の中と外。光と影。成功と苦悩。常識と異端。 幼い頃から、美の神に愛でられ、常人が持たないセンスと感情を有し、逆に持つべき常識を欠落したお坊ちゃん。しかしそのことは、異世界に住む初恋の相手に触れたり、家庭を追われたりするまでは、気づけない。彼にとっての世界は家の中・銀幕の中・都市部の中だけだったから。外の世界に触れた 、ジルの危うさとひたむきさは、読む者の心を打つ。 ハッピーエンドなど先にはないように見える一本道。どうか、運命の分岐点が現れるように祈りにも似た想いでページをめくる。 映画のように語るとすれば、ジェームズ・アイヴォリー作品のような米英映画的なテイストもあるが、ラストは90年代のフランス映画のような終わり方でした。 とても悲しく、切ない。色んな人が色んなものを諦めないといけない。失わないといけない。痛みを伴う。 でも、ジルやエシー、クラーレットにとっては、これで良かったんだよね。という終わり方という意味で、個人的には黄金時期の大好きなフランス映画のような終わり方でした。桜音月さん、映画好きだと想うので、伝わると想う。笑 救いは、スピンオフと言うか、関連作品もあるようなので、またこの先の物語やここに至る物語などで、補完ができそうですね。 ありがとうございました。
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イベントの参加および、ご丁寧なレビューをありがとうございました。 私が拙作を通して書きたかったことがレビュー内に書かれており、嬉しくて何度も読み返してしまいます(笑) レビューに書いていただいたとおり、主人公は自分の世界がとても小さいことなどに気づけずにいました。まさに根っからの御坊っちゃんですね。 フランス映画もジェームズ・アイヴォリーの作品も好きなので、そのように例えていただけ、嬉しいです。 スピンオフでは3~4章の間の空白の時期(主人公が18になるまで)と、彼らのその後がチラッと書いてあります。 また何らかのご縁がありましたら、よろしくお願いいたします。
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こちらこそありがとうございました。 ある意味、純粋培養の坊ちゃんだからこそ、人を惹き付けもするし、惹き付けられもする。 多分、僕と同じで、方言女子とかに弱いタイプですよ、彼。笑 自分にないもの、知らない世界を持ってることに強い憧れとなぜかノスタルジックを感じる。 やっぱり映画は伝わりましたか。笑 きっとお母様は、ピーター・グリーナウェイ作品に出てそうです。あの監督は構図がとにかく美しい! スピンオフがその年代ってことは、集約・加筆すれば、12万文字とかの公募にも出せるんじゃないですか? またお邪魔してみます。
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