成生 都

青春を追体験
登場人物は決して少ない人数ではないのですが、それぞれにアイデンティティがあり、しっかりキャラクターが生きていました。だからこそ単に作品を読むのではなく夢路と咲、そしてサクラと共にわたしもまた青春を追体験することができました。 ファンタジー、オカルトなどライトノベルらしい要素はあるのですが、それより彼らの内面的な成長が本作の見どころではないかと思います。 このあたりが作者様の素晴らしいところですよね。過去を掘り下げ、じっくり向き合う時間や機会を設け、わたしたち読者にも共感し考える時間を与えてくれました。 さらにスクールカーストや地域コミュニティなど日本に根付く社会問題に触れ、また直接的な関係はないですが背景には大震災もある。どれもこれも難しい問題故に小説に練り込むのは大変だったと思うのですが、これがリアリティや深みを生み出していると思います。 エブリスタにある他の作品とは明らかに完成度が異なり、書籍化も納得です。洗練された描写や緻密に作られたストーリーは正直無料で読めるレベルではないですね。 わたしたちが読む何倍もの時間をかけて執筆してくださった作者様、ありがとうございました。
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