とけ合う優しさ
衝撃的な告白から物語は始まります。 17歳の思春期の心には、到底受け止めきれない真実。 それに誰だって、親の泣く姿なんか見たくないものなはず。最初で最後だろうけれども、そんな姿を見ていた時の彼の気持ちを想うと、胸が苦しくなりました。 どうして?もっと良い選択は出来なかったのか? どうして周りの人達を巻き込んでまで、そちらの道を進んだのか? 父親が今まで取ってきた行動がどうしても頭から離れずに、困惑したまま読み進めていきました。 けれど、二人の違う形の優しさがラストにぶつかり合ってとけていくシーン。後悔を口にする父親にもですが、何より彼が許せたことを想って涙が流れました。 表に出す優しさの形は、人によって違うと私は思っています。 父親も彼も、それぞれ形は違うけれど、家族を想っていた気持ちは本物だったのだと信じさせてくれる素晴らしいラストでした。 自分のことを自分で諦めないことって、簡単なようで実はとても難しいこと。 それは、努力は往々にしてキツイと相場が決まっていて、快楽は楽で気持ち良いからです。 だから彼が自分の手足で未来を切り拓いていく様は、読んでいて心地良かった。いつの間にか彼を心から応援していました。 一般的とはとても言えない経験をしたことは、彼を縛りつけるものではなくて、大人になってからも自分の手足で未来を切り拓いていく原動力になれているのだと思います。
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葉山 睡蓮さん レビューをありがとうございます。 僕のダークサイドの原点は、やはりあの生まれ育った家庭にあります。 人生は不条理で、時間は何も解決しない。 でも、5年後・10年後の自分は、今の自分の延長線上にしかない。だから、できるだけ人には優しく。偽善であっても。 そう言った人生哲学を学んだのではないかな、と自分では想っています。 描くべきか悩み、 公開後は、削除すべきか悩んだ作品ですが、気づけば、多くの方にコンスタントに読んでいただける作品になっていました。 正解は分からないけど、また前へ進んでいきます。
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