行ったこともないのに、メンフィスの街が頭の中に
舞台は、アメリカ、テネシー州。 全体に、サックスの音色が流れる。 そして、紫煙に煙るBARの店内。 がやがやとした話し声、音楽。手前のグラスの中の氷がぶつかる音。 私は日本のBARでさえ、あまり行ったことがない。 ましてやアメリカなど無縁だ。 なのに、店の様子が手に取るようにわかる。 行ったこともないのに、メンフィスの街が頭の中に広がる。 大きなゆったりとしたミシシッピ川の上に広がる、青い空。 そして、魅惑的な女性、明美。 あまり想像したくないのに目の前に現れる、垢じみて饐えた臭いのトム。 つぎはぎ感無しに、立体として目に浮かぶのは、優れた描写力の賜物だろう。 惜しむらくは、まったりとしたテンポがやっとアップテンポになり、リズムに乗ってきたのに終わってしまったことだ。 これからどう展開していくのかと、身を乗り出したのに……である。 自身初のハードボイルドと聞き、驚いた。 手慣れた、滑らかな筆致である。 この続きが無理なら、ぜひ連作でお願いしたい。 見たことのない世界を垣間見た。 素敵な作品をありがとう。 ところで、最後の文に「ソプラノがそっと流れた」とある。 始め、明美が追悼の歌を歌ったのかと思った。 いや、もしかして、トムが奏でていた、サックスの音色か? ソプラノサックスだったのか! それならば、コンパクトだろう。 テナーではでか過ぎる。それで、残飯漁りは。笑 そして、テナーの表現は、女声にはどうかと思うので、メゾソプラノを提案した。耳に明美の低めの声が響く。 まあ、少しメゾソプラノの記述が多い気もするが……。
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ありがとうございます! いやー、遊びました。笑 たのしかったー! 実は、書いている最中に色んな構想が思い立ち、これどうしよう?って葛藤がすごくありました。 舞台はテネシー州から、アラスカ、エジプト、イギリスに至り、大企業の汚職や、最先端医療のクローン技術、禅の悟りから哲学の認識論へと波及して……笑 妄想大爆発!!! だから、最後までお付き合い頂いてた皆さんに有難い気持ちと同時に、不完全燃焼で終わってしまい、申し訳ない気持ちがあります。 結構、いや、かなりの尻切れトンボで幕を下ろしたんデス。。 ご推察の通りです。 ひとえに私の力量不足です。 身に余るレビューを頂きましてありがとうございました
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あら、連作の提案は、強ちはずれてもいないわね! そんなに構想が広がってるなら。 沢木光太郎の深夜特急みたいに。
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