青史 炎

等身大のリアル
観音様に独白する派遣社員。 心中の呟きで物語が成立している話は沢山あるけれど、本作はそれが常に観音様に「見立て語り」をしながら綴られる。健気だ。 求めているんですよ、出口を。 探しているんですよ、未来を。 世間の波や風当たりに憂う主人公の葛藤、やるせなさ、立場的弱者であるが故の既得権益の譲歩。声をあげられない者達の、声なき嘆き。 語られた観音様はもちろん無口です。 でも、救いは別のところにあります。 其処彼処に当たり前に転がる現実を、作品を通して読者の胸の内でリアルに重ね合わせられる事に、本作の魅力の1つを感じました。 あるある。ってなる。笑 この物語は社会風刺がある訳でも、会社を糾弾する訳でもない。主人公が一皮むける訳でもない。むしろ淡々と世襲されていく組織の悪習に事なかれ主義で迎合する非力さが、いじらしい。 でも、だからこそ、面白いんだな。リアルだから。笑 本作にはなんと続編があるという。 それがとても楽しみだ。そんな作品である。 素敵な時間をありがとうございました!
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読んでくださり、レビューまでありがとうございます。 これは、ゼミで、「悪人」を登場させるという課題で書きました。 それまで悪人を書けなかったので、悩みました。 告白形式は、思いつきでした。 それが、この作品を特色づけましたが、縛りに苦しめられました。笑 一市民の、心の呻きが感じてもらえたなら、嬉しいです。 ありがとうございます。
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